水陸両用作戦(読み)スイリクリョウヨウサクセン(英語表記)amphibious operation

デジタル大辞泉 「水陸両用作戦」の意味・読み・例文・類語

すいりくりょうよう‐さくせん〔スイリクリヤウヨウ‐〕【水陸両用作戦】

敵地への攻撃人道支援・災害救援などの任務を達成するため、部隊洋上から目的地に上陸させる軍事作戦

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改訂新版 世界大百科事典 「水陸両用作戦」の意味・わかりやすい解説

水陸両用作戦 (すいりくりょうようさくせん)
amphibious operation

艦艇あるいは舟艇乗船した海上部隊および上陸部隊により,海上から開始される攻撃で,敵地への上陸作戦を含む戦術行動をいう。第2次大戦中に太平洋島々で技術的に確立された。大規模なものは陸・海・空3軍が参加する。作戦の主体となるものは海兵隊で,その運用の単位や編制は状況によって異なるが,通常,司令部,地上戦闘部隊,航空戦闘部隊,海軍支援部隊を含む戦闘戦務支援部隊等に分かれる。直接進攻を担当する地上戦闘部隊のうち,最大のものは海兵隊上陸作戦部隊で,いくつかの海兵師団,航空団チーム等で編制され,専属の戦闘戦務支援部隊を持つ。幅広い強襲上陸作戦,および海岸での持続的な作戦遂行能力を付与されていて,地理的状況にあわせて,作戦任務がいろいろと変わる場合にも,それに適応できるよう弾力性を持たせてある。

 水陸両用作戦は,ふつう次の段階を経る。(1)立案 着手命令の発令から乗船までの間に,作戦目標の研究から細部の作戦実施要領まで計画する。(2)乗船 部隊が装備や補給品を受領し,指定船舶に乗船する。(3)予行演習 細部作戦計画のタイミング,参加部隊の戦闘準備態勢の点検,通信連絡の実施。(4)移動 水陸両用作戦の関係部隊が,乗船地点から目的地の海面に移動する。(5)上陸 上陸作戦部隊の目的地域到着,航空部隊の阻止爆撃,上陸地点の制圧,海軍部隊による艦砲射撃,上陸部隊の発進,上陸戦闘,目標地域の占領

 このように一般の陣地攻撃等の作戦行動とは異なる面があるので,使用する作戦器材も特殊なものがある。海面と陸上との接触部で活動するものとして,海浜に乗り上げる能力のある上陸用舟艇,海・陸双方で作戦可能な水陸両用車両,短時間で搭載物を揚陸できるよう設計された上陸作戦用輸送揚陸艦,海岸の障害物や地雷を排除する上陸用工兵装軌車,両用強襲艦,両用作戦用旗艦等がある。特に上陸用舟艇は,型式の大小,人員・車両等の用途別に十数種類に細分される。これらの艦船,器材の発達にともなって,編制,戦法等の改変も頻繁で,第2次大戦におけるアメリカ海兵隊の例で見ると,最初のガダルカナル作戦の時から最後の沖縄作戦までの間に,師団以下の基本編制だけで6~7回改訂している。1944年6月アイゼンハワーの指揮下に行われたフランスのノルマンディー上陸作戦は,約4000隻の船舶で17万6000人の兵員と資材が揚陸された。史上最大の水陸両用作戦である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「水陸両用作戦」の意味・わかりやすい解説

水陸両用作戦
すいりくりょうようさくせん

上陸作戦」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の水陸両用作戦の言及

【海軍】より

…近年SLBMの射程が増大したため,戦略潜水艦は自軍の管制水域から,世界中の目標を射程に入れることが可能となりつつある。潜水艦
[水陸両用作戦]
 敵の抵抗が予想される海岸へ,抵抗を排除して揚陸する作戦をいう。第2次大戦の中期以降大規模に行われるようになった。…

※「水陸両用作戦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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