水魚の交わり(読み)すいぎょのまじわり

精選版 日本国語大辞典 「水魚の交わり」の意味・読み・例文・類語

すいぎょ【水魚】 の 交(まじ)わり

(「蜀志‐諸葛亮伝」の「孤之有孔明、猶魚之有一レ水也。願諸君勿復言」から) 非常に親密な友情交際などをたとえていう語。水魚のちなみ。水魚の思い。
談義本・地獄楽日記(1755)四「はやり唄など連節(つれぶし)語合ひ、誠に水魚(スヰギョ)の交(マジハリ)ともいふべし」

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デジタル大辞泉 「水魚の交わり」の意味・読み・例文・類語

水魚すいぎょまじわり

《「蜀志」諸葛亮伝から。劉備諸葛孔明自分との間柄をたとえた言葉》水と魚との切り離せない関係のような、非常に親密な交友

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故事成語を知る辞典 「水魚の交わり」の解説

水魚の交わり

水と魚のような関係。非常に親密な関係のたとえ。

[使用例] 世にある頃は水魚のまじわり知らぬ人なく[樋口一葉*やみ夜|1895]

[使用例] 八坂の不死人からの連絡である。――彼は、あれ以来、その不死人とも、藤原純友たちとも、水魚の交わりをつづけていた[吉川英治*平の将門|1950~52]

[由来] 「三国志しょく書―しょかつりょう伝」に見える話から。かん王朝が衰退し、各地で豪族たちが争いをくり返していた二世紀の終わり、放浪の豪族だったりゅうは、田舎に隠れ住む一書生に過ぎない諸葛亮(通称こうめい)を、補佐役に迎えました。劉備は諸葛亮の才能にほれ込み、二人の関係は日に日に親密になっていきます。しかし、昔からの家臣たちは、それが不満でなりません。すると、劉備は、自分にとって諸葛亮の存在は「なおうおの水有るがごとし(ちょうど、魚にとって水があるようなものだ)」と述べて理解を求めた、ということです。実際、劉備の厚い信任を受けた諸葛亮は、この後、大活躍を見せ、劉備は蜀という地方を支配下に収めて、皇帝の位につくことができたのでした。

[解説] ❶水がなければ、魚は死んでしまいます。つまり、劉備は「諸葛亮がいなければ、自分は死んでしまう」と言っているわけ。乱世での生き残りを懸けて、劉備も必死だったのです。昔からの家臣たちも、そこまで言うのならばしかたがない、と納得したことでしょう。❷「管鮑の交わり金石の交わり金蘭の交わり爾汝の交わり莫逆の友刎頸の交わり忘年の交わりなど、中国由来の故事成語には、親密な交友関係を表すものが、ほかにもたくさんあります。

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ことわざを知る辞典 「水魚の交わり」の解説

水魚の交わり

水と魚のように、非常に親密な関係。かんぽうの交わり。ばくげきの交わり。

[使用例] 情義を知る士であった長谷川氏の取り扱いは彼をして報ぜずんばあるべからざるを決せしめたごとく、後年水魚の交わりに二人はあった[西田税戦雲を麾く|1924]

[解説] 「三国志」の「蜀志―諸葛亮伝」で蜀の劉備と諸葛亮の間柄を「猶魚の水有るが如し」とたとえたことに由来します。

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