氷見市(読み)ヒミシ

デジタル大辞泉 「氷見市」の意味・読み・例文・類語

ひみ‐し【氷見市】

氷見

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日本歴史地名大系 「氷見市」の解説

氷見市
ひみし

面積:二三〇・二三平方キロ

能登半島の付根、県北西部に位置し、南北にそびえる宝達ほうだつ丘陵が北東に延びて石動山せきどうさん丘陵に続く。宝達山から東方に延びた丘陵は二上ふたがみ丘陵に続き、その先端は高岡市太田の雨晴おおたのあまはらしで断崖となって海に至る。三方を山に囲まれ、東は海に面して孤立した地形のなかにある。宝達・二上の両丘陵から派出する小丘陵が西条さいじよう十三じゆうさん谷・上庄かみしよう谷・八代やしろ谷・余川よかわ谷・灘浦なだうらの六つの谷間に小沖積平野をつくっている。地層は第三紀泥岩・砂岩層が主で、とくに北西部の山稜地に地滑り地帯をかかえ、古くから災害を引起こしている。海岸線の長さは二〇キロに及び、南半分は砂丘地帯で「万葉集」巻一七に麻都太要まつだえの浜と詠まれた名所であるが、北の半分は断崖となり、諸所の入江は漁港として利用されてきた。市域中央部に流れ込む上庄川、仏生寺ぶつしようじ(湊川)の河口に発達したのが旧氷見町である。この町を南北に通る浜往来(二宮往来)があり、西へ子浦しお往来が通じ、水陸の中心となり、物資の集産地として発達してきた。北は石川県七尾ななお市、西は同県鹿島かしま郡鹿島町・羽咋はくい市・羽咋郡志雄しお町・同郡押水おしみず町、南は西礪波にしとなみ福岡ふくおか町・高岡市に接する。

〔原始〕

国指定史跡が二つある。一つは潟山かたやま丘陵の東山麓にある縄文時代の朝日あさひ貝塚で、大正七年(一九一八)の発見で、日本海側では数少ない鹹水産貝塚である。同一三年の発掘で調査された炉跡は、日本で最初の住居跡の発見であった。同じ大正七年発見の大境洞窟おおざかいどうくつ遺跡では、わが国最初の洞窟遺跡の調査が行われ、最下層からは縄文時代中期の遺物が、上部の第五層からは弥生土器が出土し、縄文土器の古さを示した。ほかに縄文時代の遺跡として、一刎前田ひとはねまえだ遺跡・四十塚しじゆうづか遺跡などが著名である。弥生時代の遺跡には、沖布おきぬのA遺跡・柳田やないだ遺跡がある。古墳では前方後円墳と推定される朝日長山あさひながやま古墳が知られる。ほかにも宇波うなみ古墳・惣領そうりよう古墳・いずみ古墳群などがあり、横穴墓加納かのう横穴群・坂津さかつ横穴群・阿尾城山あおじようやま横穴群・脇方わきがた横穴群など、県内では最多を誇る。能登半島から続く六世紀後半から七世紀の製塩遺跡が、九殿くでん浜や薮田やぶたにみられる。

〔古代〕

「万葉集」所載の地名が多く知られ、大伴家持や「万葉集」の研究に豊富な資料を提供している。「万葉集」巻一七―一九には、家持らが春から初夏にかけてたびたび布勢水海ふせのみずうみに遊覧し、湖畔の風景や風情を詠んだ歌が数多く収められている。天平一九年(七四七)四月の布勢水海に遊覧した際の賦に渋谿しぶたに崎、宇奈比うなひ川、乎布おう(乎敷)崎、同二〇年三月の歌に布勢ふせ浦・乎敷崎、垂姫たるひめ(浦)、乎敷の浦、多胡たご崎、天平勝宝二年(七五〇)四月の歌に乎布浦、垂姫・多胡浦などがみえ、当時の布勢水海には変化に富んだ景勝の地が多かったことを物語る。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「氷見市」の意味・わかりやすい解説

氷見〔市〕
ひみ

富山県北西部,氷見平野宝達丘陵にあり,富山湾に臨む市。能登半島基部の東半分を占める。1952年氷見町(1889町制)と余川村碁石村八代村の 3村が合体して市制。1953年窪村,宮田村,上庄村,熊無村の 4村,1954年阿尾村,藪田村宇波村,女良村,十二町村,神代村,布勢村,仏生寺村,速川村,久目村の 10村をそれぞれ編入。中心市街地の氷見は古くから漁業の中心地として栄え,寛永年間(1624~44)には氷見七浦を網場として加賀藩から拝領。春はイワシ,晩秋から冬にかけてはブリの定置網漁を主とし,アジ,サバ,イカなどの漁獲が多い。農村部では米作,イチゴ栽培,竹細工などが行なわれるが,近年は建設機械,電気抵抗器などの工場が立地。富山湾に面する縄文期の大境洞窟住居跡(海食洞),朝日貝塚は国の史跡に,上日寺と境内の大イチョウ,十二町潟のオニバス自生地や飯久保のひょうたん石は国の天然記念物に指定。北の岩石海岸の灘浦と南の雨晴海岸有磯海能登半島国定公園に含まれている。新第三紀層の宝達丘陵は地すべり地帯となっている。JR氷見線,国道160号線,国道415号線が通る。面積 230.54km2。人口 4万3950(2020)。

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