永牢(読み)エイロウ

デジタル大辞泉 「永牢」の意味・読み・例文・類語

えい‐ろう〔‐ラウ〕【永×牢】

江戸時代刑罰の一。罪人を死ぬまで牢に監禁するもの。今の終身刑にあたる。ながろう。

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精選版 日本国語大辞典 「永牢」の意味・読み・例文・類語

なが‐ろう ‥ラウ【永牢】

〘名〙
① 長く牢内にいること。長期間牢屋に入れられていること。
※禁令考‐前集・第二・巻一五・宝暦四年(1754)四月「遠島者申渡相済、牢内に差置、〈略〉唯今迄致永牢候者も有之候」
② 江戸時代の刑罰の一つ無期の入牢刑。本来死罪になるべき罪状の者が、自訴などで減刑された場合や遠島の代わりとして科せられた。えいろう。

えい‐ろう ‥ラウ【永牢】

歌舞伎吾嬬下五十三駅天日坊)(1854)三幕「金ができぬ時は母さんは永牢(エイラウ)へ入らねばならぬ故」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「永牢」の意味・わかりやすい解説

永牢
ながろう

江戸時代の刑罰の一つ。終身牢舎に閉じ込めておくこと。旧主に仇をなした者や女犯の僧などに科せられた。天保9 (1838) 年高野長英が『夢物語』を著わし,幕府忌諱触れ,探索されているのを知って,翌同 10年自訴し,この刑に処せられたことは有名である。

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世界大百科事典(旧版)内の永牢の言及

【遠島】より

…島からの逃亡を島抜(しまぬけ),島紛失などというが,浦触(うらぶれ)という触書を発して捜索し,逮捕されればその島で死罪となった。藩でも島を領有する場合は遠島を行うことがあり,島をもたない藩では永牢(ながろう)という無期禁固に代えるのが原則であった。【平松 義郎】。…

【禁獄】より

…鎌倉幕府法の中には,他人を打擲した凡下(ぼんげ)(一般人)身分の輩は60日間禁獄するというように囚禁日数を明記したものもある。江戸幕府も禁獄を刑罰としていたが,名称は過怠牢(有期)と永牢(終身刑)を内容とする入牢(にゆうろう)という語に変化した。明治時代には,1880年(明治13)7月公布の刑法に禁獄が懲役とならぶ主刑として規定されていたが,1907年廃止された。…

【牢屋】より

…(1)有罪判決(とくに遠島(えんとう)刑)を受けた者を,刑の執行(出船)まで拘置する場所としての機能。(2)永牢(ながろう),過怠牢(かたいろう)という,幕府の法体系の外に,いわば例外的にのみ存在した禁錮刑を執行する場所としての機能。永牢とは無期禁錮の刑で,死刑,遠島に相当するものが自訴した場合や,諸藩で遠島刑に用いるべき島がないときに,遠島に代わる刑として採用すべきものとされた刑罰であるが,費用がかさむうえ,受刑者が他の未決囚に悪影響を及ぼすため,あまり適用されなかった。…

※「永牢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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