江口朴郎(読み)えぐちぼくろう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「江口朴郎」の意味・わかりやすい解説

江口朴郎
えぐちぼくろう
(1911―1989)

西洋史学者。佐賀県の生まれ。1933年(昭和8)東京帝国大学文学部西洋史学科卒業。第一高等学校教授などを経て、50年(昭和25)東京大学教養学部助教授、ついで教授(1953)となり、国際関係論科および大学院国際関係論課程の主任を務めた。のち法政大学、津田塾大学教鞭(きょうべん)をとった。初期には第一次世界大戦前の外交史を研究したが、第二次大戦敗戦以後は現代史の諸領域にわたり、帝国主義を反帝国主義諸勢力との対抗関係において国際的視野からとらえることを提唱した。また歴史学の課題と方法について柔軟なマルクス主義的見地からしばしば発言し、学界に多大の影響を与えた。民間の有力な学会である歴史学研究会の代表(1950~58)、委員長(1959~61)として左派アカデミズムの指導的地位にあった。主著『帝国主義の時代』(1969)など。

[斉藤 孝]

『『江口朴郎著作集』全五巻(1974~75・青木書店)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「江口朴郎」の解説

江口朴郎 えぐち-ぼくろう

1911-1989 昭和時代の歴史学者。
明治44年3月19日生まれ。一高教授をへて,昭和28年東大教授となる。のち法大教授,津田塾大教授。第一次大戦前後の国際関係史を研究。歴史学研究会代表,原水協代表委員,日本ラオス友好協会会長などをつとめた。平成元年3月15日死去。77歳。佐賀県出身。東京帝大卒。著作に「帝国主義と民族」など。

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