江川(読み)ゴウガワ

デジタル大辞泉 「江川」の意味・読み・例文・類語

ごう‐がわ〔ガウがは〕【江川】

広島・島根両県を流れる中国地方第一の川。中国山地に源を発し、上流では可愛えの川ともよばれ、三次みよし市で馬洗ばせん川・西城さいじょう川と合流。江津ごうつ市で日本海に注ぐ。長さ約194キロ。ごうのがわ。

え‐がわ〔‐がは〕【江川】

川が入り江と連なっている所。
「東には―はるかに流れ」〈なくさめ草〉

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精選版 日本国語大辞典 「江川」の意味・読み・例文・類語

え‐がわ ‥がは【江川】

〘名〙
① 川や海の入り江。
※為尹千首(1415)夏「鷺のゐる江川におほふふし柳いまは波こすさみだれの頃」
鹿苑日録‐慶長六年(1601)九月二六日「酒五片。諸白・江川両酒也」

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日本歴史地名大系 「江川」の解説

江川
ごうのかわ

中国地方最大の川で、正式名称は江の川。広島県から中国山地を越えて島根県に入り、江津市域を二分するかたちで日本海に注ぐ一級河川。島根県瑞穂みずほ町と広島県大朝おおあさ町の境に位置する三坂みさか峠南方の大朝町筏津いかだづに発し、南流して同県吉田よしだ町に入り、北東へ流れて同県三次みよし市の三次盆地に入る。盆地より上流部は可愛えの川と通称される。三次盆地では神之瀬かんのせ川・西城さいじよう川・馬洗ばせん川を求心的に集めて流路を北西に転じ、中国山地を横断して島根県域に入る。県境付近からは流路を北寄りにとり、深い峡谷を刻みつつ蛇行を繰返し、邑智おおち町の浜原はまはら粕淵かすぶち付近で大きく転回して南西に流れを変え、川本かわもと因原いんばら付近からほぼ西流を続けて江津市域中央部の江津町・渡津わたづ町間で日本海に注ぐ。全長約二〇六キロ(県内九一・三キロ)、広島・島根両県域で大小三五五の支流を合せ、流域面積は約三八一八平方キロ(県内約一二〇〇平方キロ)に達する。県内には江川水系として一二二の河川がある。三次から下流の広島県域では一般に江の川とよばれるが、島根県側では江川と称し、ごう川とも記された。石見川ともいわれ、中国太郎の呼称をもつ。昭和四一年(一九六六)一級河川に指定された際に江の川を正式名称とした。

江川は、中国山地の隆起に抗して激しい下刻作用を継続して流路を保持してきた先行性の河川という特性から、深い峡谷と湾曲部の攻撃斜面では急傾斜の三角状食崖を、対岸の保護斜面では三日月形氾濫原を交互に造成した。河岸には狭小な段丘が形成されているが、下流に至るまで沿岸に平野を造成することはなかった。無能川(能無川)といわれるゆえんである。したがって江川本流域での主要な耕地は河岸段丘面とわずかな氾濫原にすぎない。「延喜式」兵部省諸国駅伝馬条にみえる山陰道石見国六駅のうちの江東駅と江西駅は、江川の東岸と西岸に位置したのがその名の由来であろう。流域の中国山地は黒雲母花崗岩地帯で良質の砂鉄を含有するため、古来鉄穴流しによる砂鉄採取が盛んに行われ、沿岸各村の「郡村誌」には「江川、秋分ヨリ春分ニ至リ鉄砂灌取ノ為メ濁ル」などと記される。砂鉄を原料とする鑪製鉄は、出羽鋼に代表される良質のの生産もあったが、その中心は銑で、石見の銑は大坂市場で諸国鋳物師から高い評価を得ていた(天保七年「石見銀山領銑山師惣代答申」沢津家文書)。鑪の立地は、原料の砂鉄と燃料の木炭の輸送に適し、製品の搬出などにも便のあった江川沿岸に集中していた。

江川
えがわ

遠賀おんが芦屋あしや町と水巻みずまき町との境で遠賀川河口部から分派し、若松わかまつ区と八幡西やはたにし区の境界を東に向かったあと、北流に転じて若松区域に入り、その後同区内で流れを東に転じてしばらく進み、再び若松区と八幡西区の境界を流れ、若松区二島ふたじま地区と八幡西区本城ほんじよう地区との間で洞海どうかい湾に入る一級河川。遠賀川水系に属する。河川延長七・八キロ(全流路指定区間)、流域面積一九・七平方キロ。鴨生田かもおだ(遠賀郡地誌)、加茂田川・にしき(島郷の史跡と伝説)などともよばれた。河川管理上は遠賀川との分派点を上流端としているが、遠賀川側・洞海湾側の双方からの潮入りがある頭なし川である(北九州市史)

江川
えがわ

庄内川の水を旧春日井郡稲生いのう(現西区)から引いた水路で、つじ井筋・ひがし井筋ともよばれた。長さおよそ八キロ、ほり川の西に沿って南に流れ、熱田前あつたまえ新田(現港区)笈瀬おいせ川に合し、海に注いだ。水質がよく、上流は灌漑用に、中流以下とくに城下西北の巾下はばした(現西区)辺りは、井戸水そぶといわれる悪水であったため、水道水と称して飲料にも用いられた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「江川」の意味・わかりやすい解説

江川
ごうがわ

中国地方最大の川。江ノ川 (ごうのがわ) ともいう。中国山地広島県北広島町に源を発し,三次市で神野瀬川,西城川,馬洗川の3河川と合流して中国山地を越え,島根県中央部を迂回して江津市で日本海に注ぐ。全長 194km。広島県内では可愛川と呼ばれ,島根県に入ると江川となる。中国山地を斜断する三次-邑智 (おおち) 間は先行性の渓谷をなし河岸段丘が発達,氾濫原は狭い。河口の江津付近にわずかの沖積平野がみられる。奈良時代からたたら製鉄と結びついた河川交通があり,江戸時代には数百隻の川舟が行き来して三次の商品や川本の鉄,木炭を運んだ。上流にはダムがあり水資源開発が進んでいる。流域に江川水系県立自然公園がある。

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事典・日本の観光資源 「江川」の解説

江川

(島根県)
日本百景」指定の観光名所。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「江川」の意味・わかりやすい解説

江川
ごうがわ

江の川

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世界大百科事典(旧版)内の江川の言及

【江の川】より

…広島・島根両県にまたがる中国地方第一の川。この川の名称は,旧河川法の時代には広島県側が郷川(ごうがわ),島根県側が江川(ごうがわ)と告示されていたが,1966年4月に1級河川に指定された際,江の川と統一された。本流は広島県山県郡大朝町阿佐山に発する可愛川(えのかわ)であり,標高400~700mの中国(高田)高原の上を南東へ,ついで北東に流れて三次(みよし)市に至り,ほぼ同じ規模の支流,馬洗(ばせん)川,西城川,神野瀬(かんのせ)川を合わせる。…

※「江川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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