江陵(中国)(読み)こうりょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「江陵(中国)」の意味・わかりやすい解説

江陵(中国)
こうりょう / チヤンリン

中国中部、湖北(こほく)省中南部にある荊州(けいしゅう)市の県。人口39万4400(2015)。春秋時代の楚(そ)の都で郢(えい)とよばれ、また紀山の南なので紀郢とも称された。秦(しん)代に江陵県を置き、南北朝の梁(りょう)代にも一時都となり、五代にも南平国の都であった。また唐代の江陵府治、宋(そう)代の江陵郡治で荊湖(けいこ)北路の治所でもあり、清(しん)の荊州府治にもなった歴史的都市である。長江(ちょうこう)(揚子江(ようすこう))中流部(荊江(けいこう)とよぶ)の北岸にあり、鉄道開通前は南北陸上交通の要衝であった。

 米、小麦、ワタナタネアブラナ)、淡水魚の生産が多く、工芸品としては荊州緞子(どんす)、蒔絵(まきえ)の器、桶(おけ)の産地として知られる。内モンゴル自治区西部のオルドスと江西省吉安(きつあん)を結ぶ国内最大規模の石炭輸送用鉄道・蒙華(もうか)線の2020年開通に向け、県政府は物流産業の発展に力を入れている。

[河野通博・編集部 2017年8月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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