沈子(読み)ちんし

精選版 日本国語大辞典 「沈子」の意味・読み・例文・類語

ちん‐し【沈子】

〘名〙 漁具の下の方にとりつけ、漁具に沈降力を与え、水中所期形状や位置をとらせるためのおもり。
[補注]往時は石、コンクリートなどが用いられたが、現在は鉛、鉄、陶製で、綱に通して用いるので中空円筒形のものが多い。漁業界では沈子を「いわ」と読むのが一般で、沈子綱は「いわづな」、沈子棚は「いわだな」という。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「沈子」の意味・読み・例文・類語

ちん‐し【沈子】

漁網下縁につけ、水中に沈める役をするもの。いわ。おもり。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「沈子」の意味・わかりやすい解説

沈子 (いわ)
lead
sinker

網漁具下方に引っぱり,水中で所要の形状を保たせるために用いられるおもり。網漁具を海底に固定するためにも用いられている。おもり,しずみ,ちんしなどともいう。沈降力が大きいことが材料の備えるべき第一条件であるが,こわれにくいこと,加工が容易なこと,供給が豊富で安価なことも必要である。鉛,鉄,石,陶器,コンクリートなどが昔から用いられている。また定置網を固定する際のように,俵や袋に砂,砂利,石などを詰めたものも用いられる。形状はあば浮子)同様,漁具の運用に妨げとならないようなものとされているが,球形,円筒形,楕円球形などさまざまである。一般に,一つ一つは小さくして,これを数多くつけ,沈降力が平均にかかるようにする。いわをつける綱を沈子綱(いわな)/(あしな)と呼ぶ。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の沈子の言及

【いわ(沈子)】より

…一般に,一つ一つは小さくして,これを数多くつけ,沈降力が平均にかかるようにする。いわをつける綱を沈子綱(いわな∥あしな)と呼ぶ。【清水 誠】。…

【鉛】より

…周期表元素記号=Pb 原子番号=82原子量=207.2地殻中の存在度=12.5ppm(35位)安定核種存在比 204Pb=1.40%,206Pb=25.1%,207Pb=21.7%,208Pb=52.3%融点=327.5℃ 沸点=1744℃比重=11.3437(16℃)水に対する溶解度=3.1×10-4g/l(24℃)電子配置=[Xe]4f145d106s26p2おもな酸化数=II,IV周期表第IVA族に属する金属元素。…

【ねじ】より

… さて,図1のつる巻線において,円筒の直径をdとし,直角三角形の底辺の長さをπd(πは円周率)に等しくとれば,三角形の紙はちょうど円筒をひと巻きし,その間につる巻線は三角形の高さlだけ高くなる。この高さlをねじのリードleadといい,三角形の底辺と斜辺とがなす角をβとすると,l=πdtanβの関係がある(このβをリード角という)。ねじを軸のまわりに一回転するとき,ねじ山はリードに等しい距離だけ移動する。…

※「沈子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android