沈既済(読み)しんきさい(英語表記)Shen Ji-ji

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「沈既済」の意味・わかりやすい解説

沈既済
しんきさい
Shen Ji-ji

[生]天宝9(750)?
[没]貞元16(800)?
中国,中唐の伝奇作家,歴史家。呉県 (江蘇省蘇州) の人で,学者として知られ,徳宗のとき宰相楊炎推薦で史官となったが,建中2 (781) 年,楊炎が失脚すると処州 (浙江省麗水) 司戸参軍として流された。のち中央に戻り吏部員外郎にいたった。伝奇作家としては『任氏 (じんし) 伝』『枕中 (ちんちゅう) 記』の著者として知られるが,特に『枕中記』は唐代伝奇小説の代表作の一つで,明の湯顕祖戯曲邯鄲 (かんたん) 記』,日本の謡曲『邯鄲』のもとになった。ほかに建中年間の歴史を記録した『建中実録』がある。

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世界大百科事典(旧版)内の沈既済の言及

【枕中記】より

…中国,唐代の小説名。沈既済(しんきせい)(8世紀後半ころ)の晩年の作。邯鄲(かんたん)の盧生(ろせい)は科挙試験に及第できないことを嘆いていると,道士呂翁から枕を授けられ,夢の中で立身出世し,節度使や宰相となって帝を補佐し,長寿を保って死ぬ。…

※「沈既済」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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