沖・澳(読み)おき

精選版 日本国語大辞典 「沖・澳」の意味・読み・例文・類語

おき【沖・澳】

〘名〙 (「おく(奥)」と同根という) 同じ平面で、遠く離れたほうをいう。
① 特に水面について、海、湖、川などの場合、陸地から遠いほう。その中央部。⇔辺(へ)
※古事記(712)下・歌謡「淤岐(オキ)へには 小舟連らく」
万葉(8C後)五・八七四「海原の意吉(オキ)行く舟を帰れとか領巾(ひれ)振らしけむ松浦佐用姫」
田畑人里から遠く開けたところ。沖通り。
※歌謡・田植草紙(16C中‐後)晩歌壱はん「かいたのおきにこそしかやふし候(そろ)よ」
破戒(1906)〈島崎藤村〉四「母さんが沖(野外)に居やすから」
③ (海辺の「辺」を「へた」と読んで「下手」にかけ、海辺と反対であるところから「上手(じょうず)」の意にとって) 技芸などのすぐれた境地をいう。→沖を越える沖を漕ぐ
④ (素人女や下等女郎との遊びを浅い「磯」とするのに対して) 太夫、天神などを揚げての豪遊。また、その高級遊女。→沖を漕ぐ沖を泳ぐ
※雑俳・千枚分銅(1704)「人間にむごい沖程時花(はや)りけり」
⑤ 先の方。
※俳諧・西鶴大矢数(1681)第三一「志の末の松山おもしろい 寝覚につめて沖は蛤蜊
⑥ おく。
和訓栞(1777‐1862)「信濃山中には今も奥といふ事をおきといへり」
※貧民窟探検記(1906)〈木工冠者〉八「『沖』と称して神戸港桟橋で、汽船荷物を運搬する所謂仲仕』なる者等」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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