泡・沫(読み)あわ

精選版 日本国語大辞典 「泡・沫」の意味・読み・例文・類語

あわ【泡・沫】

〘名〙
① 液体の中に空気、ガスなどの気体を含んで、まるくふくれたもの。あぶく。すぐ消えるところから、はかないものにたとえる。
書紀(720)神代上「沫蕩、此をば阿和那伎(アワなぎ)と云ふ」
源氏(1001‐14頃)柏木あわの消え入るやうにて、うせ給ひぬ」
方丈記(1212)「朝に死に、夕に生るるならひ、ただ水のあわにぞ似たりける」
② 口の端にふき出すつばの小さな玉。口泡。→あわ(泡)を噛むあわ(泡)を吹く
③ ガラスの中にできた気泡
④ 「あわお(沫緒)」の略。「水の泡」と両様の意に用いることが多い。
※宇津保(970‐999頃)吹上上「藤の花やどれる水のあはなればよのまになみの織りもこそすれ」
⑤ (水中の泡はせっかく生まれても結局は消えてしまうところから) だめになってしまうことのたとえ。水の泡。
蝴蝶(1889)〈山田美妙〉二「もしは敵に見認められなば、逃れ来し心尽くしも泡なれや」
⑥ 凍りついた積雪の上に、新しく降り積もったやわらかい雪の小さい塊が、斜面をころがり落ちるにつれて、人家をも押しつぶすほどの巨大な雪塊になって落下するもの。
随筆・孔雀楼筆記(1768)四「雪に三つの畏(をそ)るべきあり。曰く『沫(アハ)』。いわく『頽(なだれ)』。いわく『雪吹(ふぶき)』」
※随筆・北越雪譜(1836‐42)初「ほふらを処によりて、をほて、わや、あわ、ははたりともいふ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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