(読み)セン

デジタル大辞泉 「洗」の意味・読み・例文・類語

せん【洗】[漢字項目]

[音]セン(呉)(漢) [訓]あらう
学習漢字]6年
汚れをあらい清める。「洗剤洗浄洗濯洗面洗練水洗
顔や物をあらう器。「杯洗筆洗
[名のり]きよ・よし
難読御手洗みたらし

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「洗」の意味・読み・例文・類語

あら・う あらふ【洗】

〘他ワ五(ハ四)〙
① 水などでよごれを落とす。すすぎ清める。着物などを洗濯する。米などを研ぐ。
万葉(8C後)一四・三四四〇「此の川に朝菜安良布(アラフ)児なれもあれもよちをそ持てるいで子たばりに」
※枕(10C終)五「童(わらはべ)の頭ばかりをあらひつくろひて、なりはみなほころび絶え」
② 水や波が岸辺に寄せたり返したりする。
散木奇歌集(1128頃)夏「伊勢のあまの苫屋の床のかぢ枕あらふさなみに目をさましつる」
真鶴(1920)〈志賀直哉〉「岸を洗ふ静かな波音が下の方から聴えて来る」
③ 心を清める。心の中の不純なもの、有害なものを取り除く。
※太平記(14C後)一三「今よりは心の垢を雪(きよめ)憂世の耳を可(アラフべき)便りに成ぬと思給ひ」
※聖ヨハネ病院にて(1946)〈上林暁〉「自分の妻ながら、きれいな心に僕は洗はれるやうであった」
④ (身元や犯罪事実など)隠れている事柄を調べる。詮議する。取り調べる。
洒落本・仕懸文庫(1791)三「それともよくあらってみてくんねへ」

あらい あらひ【洗】

〘名〙 (動詞「あらう(洗)」の連用形名詞化)
① 洗うこと。洗濯。
大和(947‐957頃)二七「親のもとに、きぬをなむあらひにおこせたりけるを」
※母なるもの(1969)〈遠藤周作〉「写真は洗いがわるいせいか、縁が黄色く変色している」
② (「洗魚」「洗膾」などの字も当てる) 夏の料理の一種。コイ、タイなどの新鮮な肉を薄く切り、冷水または氷水で洗って縮ませたもの。酢みそ、わさびじょうゆなどで食べる。《季・夏》
随筆守貞漫稿(1837‐53)二八「三都ともに洗ひと云あり。〈略〉あらひには鱸を好とす」
③ 釜(かま)を洗い流すときに出る、底にこびりついていた飯。あらいながし。
最暗黒之東京(1893)〈松原岩五郎〉七「アライとは釜底の洗ひ流しにして飲(めし)のあざれたるを意味するものにして」
④ 溜池などから余った水を流してやる落とし口。はやくち。

あらわい あらはひ【洗】

〘名〙 (動詞「あらふ(洗)」の未然形に、助動詞「ふ」の付いたものの連用形の名詞化) 洗うこと。すすぎ。洗濯。
※大和(947‐957頃)二七「山にすむあひだに、あらはひなどする人のなかりければ」

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