浅茅(読み)あさじ

精選版 日本国語大辞典 「浅茅」の意味・読み・例文・類語

あさ‐じ ‥ぢ【浅茅】

〘名〙 丈が低いチガヤ。
万葉(8C後)六・九四〇「印南野(いなみの)の浅茅(あさぢ)押しなべさ寝(ぬ)る夜の日(け)長くしあれば家し偲はゆ」
古今(905‐914)恋四・七二五「おもふよりいかにせよとか秋風になびくあさぢの色ことになる〈よみ人しらず〉」
[語誌]「万葉集」では秋の訪れとともに色づくと詠んで季節感を表わす景物に過ぎないが、平安時代には恋人心変わりを、浅茅の色変わりにたとえるようになる。「秋」は「飽き」、「浅茅」は愛情が「浅し」、変色が心変わりの意である。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「浅茅」の意味・読み・例文・類語

あさ‐じ〔‐ぢ〕【浅×茅】

まばらに生えた、または丈の低いチガヤ。文学作品では、荒涼とした風景を表すことが多い。 秋》

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