浜出草紙(読み)はまいでそうし

改訂新版 世界大百科事典 「浜出草紙」の意味・わかりやすい解説

浜出草紙 (はまいでそうし)

御伽草子。渋川版の一。源頼朝は大仏供養を行って右大将に任ぜられ,兵衛司(ひようえづかさ)十人,左衛門司十人の官途を賜った。中に左衛門司を賜った梶原景時は,その位を嫡子源太景季に譲り,大名・小名が集い祝宴が催される。初番,二日目ともに酒肴やらみごとな引出物などを調え,三日目には,江の島詣にことよせて,頼朝公の北の方をはじめ大名の北の方も由比ヶ浜に浜出を企て,船の上に舞台を造り,御賀(おんが)の舞,舞楽など3日にわたり舞い奏で,所領を賜った人々はめでたく所知入りをする。浜出とは,海浜潮干狩をしたり飲食をしたりする春の行事。浜降り(はまおり),浜遊びともいう。冒頭に,鎌倉の地勢,名所尽しをのべる。幸若舞曲《浜出》を草子化したもので,祝言色の濃い作である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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