浮人形(読み)うきにんぎょう

精選版 日本国語大辞典 「浮人形」の意味・読み・例文・類語

うき‐にんぎょう ‥ニンギャウ【浮人形】

〘名〙
① 壺の上に人形を立て、壺の下部にある笛を吹くと、人形が回るような仕掛けにしたもの。
随筆・嬉遊笑覧(1830)六「猩々小僧浮人形にあり。又飴細工にもするなり」
② 人形をへぎ板の小舟にのせ、板のはし樟脳(しょうのう)をつけて水上を走らせるようにしたもの。江戸時代、文化・文政(一八〇四‐三〇)頃には、人形に線香花火をもたせて走らせるものもあった。《季・夏》
※俳諧・武玉川(1750‐76)四「うき人形の手のひらを漕」

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デジタル大辞泉 「浮人形」の意味・読み・例文・類語

うき‐にんぎょう〔‐ニンギヤウ〕【浮(き)人形】

壺の上に人形を立て、壺の下の方に差し込んだ笛を吹くと、人形が回る仕掛けの玩具
水に浮かせて遊ぶ玩具。セルロイドなどの舟に小さな人形をのせたもの。樟脳しょうのうなどを利用して走るものもある。 夏》「―に雨強く来したらいかな/風生

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改訂新版 世界大百科事典 「浮人形」の意味・わかりやすい解説

浮人形 (うきにんぎょう)

蠟塗りの小人形の底部ショウノウ(樟脳)をつけ,水に浮かべて遊ぶ玩具。ショウノウが溶けるにしたがって人形が泳ぎ動く。小型のセルロイド製の舟の船尾にショウノウをつけ,水面に浮かべて舟を動かす樟脳舟と同じ原理による。中国の水物玩具の浮鳥原型で,西域地方では中元の日に婦人がこの人形を水に浮かべて遊び,子を得るまじないとする風俗があったという。江戸時代に渡来し,日本では夏の遊びとして親しまれた。ビロード製の猿に舟を漕がせるものなども登場し,五月節句の贈物にもした。現在でも縁日露店などでセルロイド製のものが見かけられる。
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