消えた年金(読み)キエタネンキン

デジタル大辞泉 「消えた年金」の意味・読み・例文・類語

きえた‐ねんきん【消えた年金】

社会保険庁によって不適切に管理された年金記録うち、加入者が保険料納付したにもかかわらず、社会保険庁に納付の記録がない年金記録のこと。平成19年(2007)に発覚した年金記録問題で明らかになった。加入者の手元領収書等が残ってない場合、納付の事実有無や年金記録訂正の要否を公正に判断する第三者機関として各都道府県の行政評価事務所(総務省出先機関)などに年金記録確認第三者委員会が設置された。→消された年金宙に浮いた年金

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知恵蔵 「消えた年金」の解説

消えた年金

2007年5月に国民年金など公的年金保険料の納付記録漏れ問題が発覚し、5000万件という数字とともに国民の大きな怒りを買った。そもそもは、1997年に公的年金加入者に「基礎年金番号」を割り当てて加入記録を一元管理しようと試みた際に、結婚して名前が変わったケースや単純な入力ミスなどで、記録から消えた年金が生まれたのである。政府も年金事務の当事者である社会保険庁の怠慢批判したが、監督責任もあって7月の参院選における与党大敗の最大の原因となった。さらには、現行年金制度への不信をさらに増大させた。国会での追及急先鋒だった民主党の長妻衆議院議員は「ミスター年金」とも呼ばれたが、年末に発表された「流行語大賞2007」に「消えた年金」が選ばれた際、受賞者が舛添厚生労働相だったことで、「年金を消した」当事者が受賞するのはおかしいとの批判が続出した。

(稲増龍夫 法政大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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