涯分(読み)がいぶん

精選版 日本国語大辞典 「涯分」の意味・読み・例文・類語

がい‐ぶん【涯分】

[1] 〘名〙 (「かいぶん」とも) 自分の身の程分際身分に相応したこと。
※菅家文草(900頃)三・秋「涯分浮沈更問誰、秋来暗倍客居悲」
曾我物語(南北朝頃)一二「がいぶんをはかりて、浄土をねがひ、他力をたのみ、名号をとなふ」 〔曾鞏‐上欧陽学士書〕
[2] 〘副〙 (「身分相応に」の意から転じて) 自分の力の及ぶ限り。せいいっぱい。
平治(1220頃か)中「涯分武略を廻ぐらし、金闕無為なるやう成敗仕るべし」
謡曲道成寺(1516頃)「あら嬉しや、涯分舞を舞ひ候ふべし」
[語誌](二)の意は、日本で中世以降に生じた用法である。本来名詞として用いられた漢語が、副詞としての用法に転じたという点は「随分」などと同様の変化をたどっている。

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デジタル大辞泉 「涯分」の意味・読み・例文・類語

がい‐ぶん【涯分】

[名]身分に相応していること。身の程。分際。
「―を計らざるに似たりといへども」〈太平記・六〉
[副]力の及ぶかぎりするさま。精いっぱい。
「―武略をめぐらして、金闕無為なるやうに成敗仕るべし」〈古活字本平治・中〉

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普及版 字通 「涯分」の読み・字形・画数・意味

【涯分】がいぶん

身分相応のこと。分際。宋・曾〔欧陽学士(脩)に上(たてまつ)る第二書〕其の中のし、頗(すこ)ぶる涯れり。

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