液化天然ガス運搬船(読み)えきかてんねんガスうんぱんせん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「液化天然ガス運搬船」の意味・わかりやすい解説

液化天然ガス運搬船
えきかてんねんガスうんぱんせん

液化天然ガス LNGを専門に輸送する特殊貨物船。今日タンク容量 15万m3をこえるものが多く稼働しており,タンクが独立しているものと船体の一部を構成しているものとの 2種類がある。1930年頃石油ガスを加圧して液化した液化石油ガス LPG(平均液化温度-48℃)を安全に輸送する LPG船がまず出現し,1950年代には天然ガスの冷却液化が成功,平均液化温度-162℃という超低温の液化ガスに長時間触れていても変化しない材質の金属を使ったタンクが開発されて,1959年世界最初の LNG船として『メタン・パイオニア』(タンク総容量 5100m3)がアメリカ合衆国からイギリスへと大西洋を横断する LNGの海上輸送に成功した。天然ガスは発熱量が高く環境汚染が少ないとされ,電力,都市ガスなどに需要が高まり,日本では 1983年以降,輸入 LNGの日本船による輸送が始まった。1隻数百億円に上る高船価と海運コストその他の事故による危険が大きく,投資回収にもきわめて長期間を必要とする。しかし都市ガスの LNG化の進行や日本開発銀行(現日本政策投資銀行)の制度融資などを背景として,LNG船の就航が相次いだ。

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