淀・澱(読み)よどむ

精選版 日本国語大辞典 「淀・澱」の意味・読み・例文・類語

よど・む【淀・澱】

[1] 〘自マ五(四)〙
① 流れがとどこおり水がたまる。水や空気の流れがとまって動かなくなる。
万葉(8C後)一・三一「ささなみの志賀の大わだ与杼六(ヨドむ)とも昔の人にまたも逢はめやも」
古今著聞集(1254)一「あさりにはしばしよどむぞ山川の流れもやらぬ物な思そ」
物事が順調に進まないでとどこおる。また、動かないでしばらくとどまる。停滞する。
※万葉(8C後)一一・二七二一「玉藻刈る井堤のしがらみ薄みかも恋の余杼女(ヨドめ)る吾が心かも」
③ ためらう。躊躇(ちゅうちょ)する。
※万葉(8C後)五・八六〇「松浦川七瀬の淀はよどむともわれは与騰麻(ヨドマ)ず君をし待たむ」
④ 底に沈みたまる。どんよりとにごる。水底異物が沈んでたまる。沈殿する。
小学読本(1874)〈榊原那珂稲垣〉二「洲は川池等泥土の淤(ヨトミ)たる処をいふ」
[2] 〘他マ下ニ〙 ⇒よどめる(淀)

よど【淀・澱】

[1] 〘名〙
① 水が流れないでよどむこと。また、その所。よどみ。
※万葉(8C後)五・八六〇「松浦川七瀬の与騰(ヨド)はよどむともわれはよどまず君をし待たむ」
② 物事が渋り滞ること。すらすらと進まないこと。よどみ。
※宗良親王千首(1377)冬「早せかは月日のよとはありてふを暫とまらぬ年なみのうさ」
軒先の広小舞(ひろこまい)の上にある、幅約一五センチメートル、厚さ約四・五センチメートルの横木。よどぬき。よどぎ。
[2] (淀) 京都市伏見区の地名。淀川に沿う低湿地で、木津・桂・宇治三川の合流点付近にある。古代から京都の外港をなす淀川水運の河港として繁栄安土桃山時代に淀城築城、江戸時代は稲葉氏一〇万石の城下町
曾丹集(11C初か)「あさなぎにさをさすよどのかはをさもこころとけてははるぞみなるる」

よどみ【淀・澱】

〘名〙 (動詞「よどむ(淀)」の連用形名詞化)
① よどむこと。水が流れないでたまっていること。また、その所。よど。
源氏(1001‐14頃)若紫「山風ひややかに吹きたるに、滝のよどみもまさりて、音高うきこゆ」
② すらすらといかないこと。とどこおること。動かないでしばらくとどまること。渋滞。よど。
※浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)道中双六「水の出ばなの八十川の嶋田・金谷に二日のよどみ」
③ 底に沈んでたまること。どんよりとにごること。液体の中に混入している微細な固体などが下方に沈みたまること。また、そのもの。沈殿。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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