淋菌(読み)リンキン

デジタル大辞泉 「淋菌」の意味・読み・例文・類語

りん‐きん【×淋菌/×痳菌】

ナイセリア科の細菌グラム陰性双球菌淋病病原菌で、人間にのみ感染し、免疫はできない。1879年、ドイツ医師・細菌学者A=ナイセル発見ゴノコッケン

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百科事典マイペディア 「淋菌」の意味・わかりやすい解説

淋菌【りんきん】

淋病の病原菌,大きさ約1μm,腎臓形をなすグラム陰性双球菌で,莢(きょう)膜,鞭毛(べんもう),芽胞を欠く。尿路性器のほか,関節,髄膜新生児結膜などに炎症を起こすが,免疫ができない特徴がある。近年耐性菌が増加している。→グラム陰性菌
→関連項目オウバク(黄柏)カナマイシンサルファ剤尿道炎敗血症副睾丸炎卵管炎卵巣炎

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「淋菌」の意味・わかりやすい解説

淋菌
りんきん
[学] Neisseria gonorrhoeae (Zopf) Trevisan

淋疾をおこす病原菌。ナイセリア科ナイセリア属の細菌で、グラム陰性。腎臓(じんぞう)形の対をなす双球菌であり、尿道炎の膿汁(のうじゅう)中によくみられる。大きさは0.6~1マイクロメートル。白血球に取り込まれていることが多く、大きさはほぼ一定である(培養菌では大きさはさまざまとなる)。鞭毛(べんもう)、胞子莢膜(きょうまく)は形成しない。培養の際は、普通寒天では発育しないため、血液寒天やチョコレート寒天を使用する。また、二酸化炭素環境下で培養すると、半透明白色、平滑形の集落を形成する。淋菌は体外に出されると速やかに死滅するので、検体はできるだけ早く培養しなければならない。また、55℃の条件では5~10分で死滅し、乾燥にも弱い。淋菌はチンパンジーに腟(ちつ)炎をおこすといわれるが、一般にはヒトにのみ病原性を示すとみられている。罹患(りかん)性器に健康粘膜が接触(性交、接吻(せっぷん)、産道通過)することにより感染し、心内膜炎、尿道炎、性器粘膜の炎症、関節炎、菌血症などをおこす。

[曽根田正己]

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世界大百科事典(旧版)内の淋菌の言及

【淋病】より

…淋菌の感染によって起こる性病の一種で,医学的には淋疾という。古くは淋毒あるいは消渇(しようかち),屢尿(しばゆばり)とも呼ばれた。…

※「淋菌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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