淝水の戦(読み)ひすいのたたかい

改訂新版 世界大百科事典 「淝水の戦」の意味・わかりやすい解説

淝水の戦 (ひすいのたたかい)

五胡十六国の前と東決戦。肥水とも書く。氐族苻氏の立てた前秦は苻堅のとき北方諸民族を制覇して華北統一内政も充実した。ついで苻堅は中国統一をめざし,国内の反対を押し切って大軍を率いて南下した。東晋は宰相謝安の指導の下に政府軍を派遣して淝水安徽省)の岸辺でこれと対峙戦術に失敗した前秦軍が大敗した(383)。この敗戦で前秦は滅亡,華北には再び各民族の国家が乱立して大混乱に陥った。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の淝水の戦の言及

【晋】より

… たとえば西府をバックとする軍閥の桓温(かんおん)は,蜀の成漢国を滅した(347)のを手始めに,再三にわたる北伐を敢行し,356年(永和12)にはごく一時的ではあるが旧都洛陽の奪還に成功,かかる武功によってにらみをきかせ,禅譲革命をもくろんだ。そのもくろみを失敗に終わらせたのは,宰相謝安の手腕によるところが大であったが,謝安時代にはまた江南の征服をめざして進攻した前秦の苻堅の大軍を淝水の戦で破り(383),難局を切り抜けることを得た。淝水の戦の立役者は謝玄の率いる北府軍団であり,これ以後,北府の位置は以前にもましていちだんと高まったといえる。…

※「淝水の戦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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