混合酸化物燃料(読み)コンゴウサンカブツネンリョウ

デジタル大辞泉 「混合酸化物燃料」の意味・読み・例文・類語

こんごうさんかぶつ‐ねんりょう〔コンガフサンクワブツネンレウ〕【混合酸化物燃料】

軽水炉型原子力発電で用いる酸化ウランと、これの再処理によって得た酸化プルトニウムを混合した燃料MOX燃料

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知恵蔵 「混合酸化物燃料」の解説

混合酸化物燃料

ウラン(U)にプルトニウム(PU)を混ぜた核燃料使用済み核燃料を再処理して取り出した酸化プルトニウムを、ウラン濃縮工程で回収される劣化ウラン酸化物と混ぜて作る。プルトニウムの比率は5〜7%で、これが通常の濃縮ウランで核分裂するU235の代わりをする。核兵器解体で出るPUを使う場合は、その濃度を3〜5%とする。核分裂性のPU239の割合が原子炉級より高いためだ。新型転換炉高速増殖炉の燃料で、軽水炉で使うこともできる。現在の軽水炉でも、ウラン燃料の燃焼にともないプルトニウムが生成・消滅し、燃焼が進むにつれて蓄積されている。この範囲のプルトニウムによる炉心状態の変化は、設計においてすでに考慮ずみ。日本原燃は、再処理工場と同じく青森県六ヶ所村でのMOX燃料加工施設の建設を計画し、2005年4月に地元と立地協力に関する基本協定を結んだ。施設の最大加工能力は年間130tで、2012年10月操業開始を予定している。同様の施設はフランス、ベルギー、英国で既に稼働中だ。

(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「混合酸化物燃料」の意味・わかりやすい解説

混合酸化物燃料
こんごうさんかぶつねんりょう
mixed-oxide fuel

ウランとプルトニウムの酸化物が緊密に混合された核燃料をいう。通称 MOX (mixed oxides) と呼ばれている。混合酸化物燃料は,ウランとプルトニウムの溶液を混合して酸化物に転換し,成形加工する方法,あるいはウランとプルトニウムの酸化物を機械的に混合する方法によって製造される。使用済み核燃料の再処理において回収されるプルトニウムは,混合酸化物燃料用として軽水炉,高速炉,新型転換炉での利用が検討されている。

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世界大百科事典(旧版)内の混合酸化物燃料の言及

【核燃料サイクル】より

…回収されたU,Puは,再度それぞれの原子炉の仕様に従った燃料形態に組み上げたのち,原子炉の中に入れられる。Puは単独で原子炉の中で用いられることはなく,Uとの混合酸化物燃料として用いられる。UとPuの混合酸化物燃料を成形・加工することはMOX(mixed oxideの略)燃料加工とよばれる。…

※「混合酸化物燃料」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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