清元栄寿郎(読み)きよもとえいじゅろう

精選版 日本国語大辞典 「清元栄寿郎」の意味・読み・例文・類語

きよもと‐えいじゅろう【清元栄寿郎】

邦楽家。作曲家。清元三味線方。前名栄次郎(三世)。立三味線として活躍。作曲に「十三夜」などがある。本名の宮川源次の名前大和楽(やまとがく)演奏家、作曲者としても知られる。明治三七~昭和三八年(一九〇四‐六三

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「清元栄寿郎」の意味・わかりやすい解説

清元栄寿郎
きよもとえいじゅろう

[生]1904.4.21. 東京,牛込
[没]1963.3.10. 京都
清元節三味線方,作曲家。本名宮川源次。6歳より 2世清元順三郎に学び,清元三二の名で 12歳で初舞台を踏む。1922年清元界分裂に際し,師とともに梅吉派(→3世清元梅吉)に加わったが,間もなく高輪派(延寿太夫側)に戻る。清元東三郎を経て,1937年 3世清元栄次郎を襲名し,この年より名人とうたわれた 5世清元延寿太夫の立三味線となった。1948年以降は 6世清元延寿太夫を襲名した若い家元の三味線を弾き,補導役を務めた。1953年清元栄寿郎と改める。1955年重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定を受ける。『十三夜』(1952芸術祭賞受賞),『鳥辺山』『春雨』『彦市ばなし』『幻お七』などの代表作品のほか,大和楽の『あやめ』『江島生島』『おりき』『たけくらべ』『団十郎娘』『夜の梅』などを宮川寿朗の名で発表し,昭和初期大倉喜七郎が提唱した新しい三味線音楽である大和楽の礎を築くなど,作曲にも優れた才能を発揮した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「清元栄寿郎」の意味・わかりやすい解説

清元栄寿郎
きよもとえいじゅろう
(1904―1963)

清元三味線方。本名宮川源次。東京生まれ。6歳から清元順三郎に師事、1916年(大正5)初舞台を踏む。22年の清元流樹立にあたって師に随行し高輪(たかなわ)派(延寿派)を離れたが、ほどなく復帰し、翌年由緒のある3世栄次郎を襲名した。以後5世延寿太夫(えんじゅだゆう)、志寿太夫(しずたゆう)の立三味線を弾き、48年(昭和23)以降は6世延寿太夫の相三味線をもっぱら受け持ち、斯界(しかい)の発展に努めた。53年に栄寿郎と改名。堅実な芸風婉麗(えんれい)な撥(ばち)さばきに定評があり、55年には重要無形文化財保持者に認定された。また大和楽(やまとがく)では作曲・演奏の両面にわたって活躍し、東明(とうめい)流の普及にも寄与した功績は大きい。

[林喜代弘]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「清元栄寿郎」の解説

清元栄寿郎 きよもと-えいじゅろう

1904-1963 昭和時代の浄瑠璃(じょうるり)三味線方。
明治37年4月21日生まれ。清元節。2代清元順三郎に師事。昭和12年3代清元栄次郎となり,5代・6代清元延寿太夫の立三味線をつとめる。28年栄寿郎と改名。30年人間国宝。大和楽(やまとがく)の作曲と演奏にも活躍した。昭和38年3月10日死去。58歳。東京出身。本名は宮川源次。作品に「幻お七」「十三夜」など。

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世界大百科事典(旧版)内の清元栄寿郎の言及

【平岡吟舟】より

…代表作に《大磯八景》《向島八景》《都鳥》《東明獅子》などがある。東明節の創始は2世稀音家浄観(きねやじようかん),2世清元寿兵衛(3世清元梅吉),大和楽(やまとがく)の清元栄寿郎などに影響を与えた。また,アメリカから帰国後,日本最初の野球チーム〈新橋アスレチック・クラブ〉をつくって日本の初期野球の基礎をつくったのをはじめ,ローラースケートの道具を持ち帰って普及に努めるなど,その多彩な活動で築いた財を一代で散じ,〈平岡大尽〉などとも呼ばれた。…

【大和楽】より

…邦楽に洋楽の発声をとり入れたもので,東明節(とうめいぶし)の影響も認められる。新邦楽の一つの典型とされ,富崎春昇(1880‐1958),宮川源司(清元栄寿郎,1904‐63),原信子(1893‐1979)らが指導者で,代表的な歌い手は岸上きみ(1898‐1962),三島儷子(1905‐88)らであった。68年2派に分裂し,三島改め大和美代葵(みよき)と大和久満(ひさみつ)(芳村伊十七,1938‐ )らの派が活躍。…

※「清元栄寿郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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