清音(読み)セイオン

デジタル大辞泉 「清音」の意味・読み・例文・類語

せい‐おん【清音】

澄んだ声や音色ねいろ
きぬを裂くような…―がピインと虚空遥かに澄みわたるのである」〈木下尚江良人の自白
日本語音節のうち、撥音と促音を除き、濁音符半濁音符を付けない仮名で表される音節。五十音図の各音節。→濁音半濁音拗音ようおん
[類語]濁音半濁音清濁鼻濁音撥音促音長音

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精選版 日本国語大辞典 「清音」の意味・読み・例文・類語

せい‐おん【清音】

〘名〙
① すんだねいろ。清らかな音声。せいいん。せい。
経国集(827)一三・奉和搗衣引〈惟氏〉「踈節往還繞長信、清音悽断入昭陽
洒落本・魂胆惣勘定(1754)中「女郎の好事は、清音にして、浄瑠璃、小歌、三みせん、こきう、尺八の類あるひはおどけかる口、見たて手あそび等也」 〔左思‐招隠詩〕
② 日本語で、濁点半濁点をつけないかなで表わされる音節。特に、カサタハ行について、濁音半濁音に対していう。
漢字三音考(1785)皇国正音「濁音はただ清音の変にして、もとより別なる者に非る故に、皇国の正音には、是を別には立てず、清音に摂するもの也」

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改訂新版 世界大百科事典 「清音」の意味・わかりやすい解説

清音 (せいおん)

仮名との連関においてとらえられた日本語の発音に関する伝統的な術語。濁音(および半濁音)と対(つい)をなす。ある仮名の発音が清音であることをいいあらわす場合には,〈すむ〉というのが古来習慣である。清音という用語の歴史は,中国にさかのぼるが,中国にいう清音と日本語でいう清音とは,おのずからその内容を異にする。広義においては,いろは四十七文字は,いずれも清音の仮名と解されている。しかし,ふつうには,濁音(および半濁音)の音節と対立する音節を清音とよんでいる。これを実際の例でいうならば,かきくけこ・さしすせそ・たちつてと・はひふへほの20が清音をあらわす仮名(すなわち,清音の仮名)である。清音は,いずれも,無声子音ではじまる音節であるのがその特徴で,その点で,かきくけこ以下の20の音節のみをとくに清音とみなすほうが,単に実用的であるのみならず,音韻論立場から見ても意味が深い。
濁音
執筆者:

清音 (きよね)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「清音」の意味・わかりやすい解説

清音
せいおん

かな表記の際に濁音符,半濁音符をつけないで書き表わす日本語のモーラの総称。元来の五十音図 (拗音を含む) に出てくるモーラは清音である。人により,濁音と対立のあるカ,サ,タ,ハ行音のみをさすこともある。前者の意味の清音の場合は,そのモーラを構成する子音の無声性,有声性と,清音,濁音の区別とは必ずしも一致しない。清音のうちカ行 (/k-/) ,サ行 (/s-/) ,タ行 (/t-/ /c-/) ,ハ行 (/h-/) は無声であるが,ア行 (/'-/) ,ナ行 (/n-/) ,マ行 (/m-/) ,ヤ行 (/ 'j-/) ,ラ行 (/r-/) ,ワ行 (/ 'w-/) は有声である。清音,濁音の名称そのものは中国音韻学からとったらしいが,日本ではかな表記との関係で内容が上記のようになった。『韻鏡』では (全) 清は無声無気 (喉頭化) 音,次清は無声有気音,(全) 濁は有声音,清濁は鼻音,流音などを表わす。

清音
きよね

岡山県南部,総社市南部の旧村域。高梁川下流左岸にある。 2005年総社市,山手村と合体し総社市となった。旧山陽道の高梁川渡河点にあたる交通の要地で,東端の福山 (302m) は南北朝時代古戦場イネイグサを栽培する農村であったが,倉敷市の北郊にありベッドタウン化した。一部は吉備路風土記の丘県立自然公園に属する。

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普及版 字通 「清音」の読み・字形・画数・意味

【清音】せいおん

澄んだ音色。晋・左思〔招隠詩、二首、一〕石泉、瓊瑤(けいえう)(玉のように美しいしぶき)を漱(そそ)ぎ 纖(せんりん)(小魚)、亦た沈す 必ずしも絲と竹(管絃の楽器)とのみに非ず 山水に

字通「清」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「清音」の意味・わかりやすい解説

清音【せいおん】

濁音(および半濁音)の対で,五十音図の各音節およびそれに対応する各拗音の音節。狭義には,濁音・半濁音の音節に対立するカ・サ・タ・ハの4行およびそれに対応する拗音節をさす。清音・濁音の対立はもともとは無声音・有声音の対立であるとされる。
→関連項目連濁

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世界大百科事典(旧版)内の清音の言及

【字音】より

…これは朝鮮漢字音の成立期には有気・無気の弁別がまだなかったためかと考えられている。 一方,無声(全・次清),有声(全濁)の別は,日本呉音では清濁の別に反映されるが,日本漢音は両方とも清音で区別しない。布(フ)と捕(ブ)(漢音は共にフ),帯(タイ)と大(ダイ)(タイ),君(クン)と群(グン)(クン)等である。…

※「清音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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