渋沢竜彦(読み)シブサワタツヒコ

デジタル大辞泉 「渋沢竜彦」の意味・読み・例文・類語

しぶさわ‐たつひこ〔しぶさは‐〕【渋沢竜彦】

[1928~1987]仏文学者・小説家評論家東京の生まれ。本名、竜雄。サドコクトーなどフランス文学翻訳研究ほか評論小説などに活躍。「唐草物語」で泉鏡花文学賞、「高丘親王航海記」で読売文学賞受賞。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「渋沢竜彦」の意味・わかりやすい解説

渋沢竜彦【しぶさわたつひこ】

小説家,評論家,仏文学者。東京生れ。本名竜雄。東大仏文科卒。1956年《マルキ・ド・サド選集》の翻訳刊行によって日本初の本格的サド研究家となる。《悪徳栄え》続巻の翻訳が猥褻とされたことによって,いわゆる〈サド裁判〉の被告となる(1969年有罪確定)。オカルティズムからユートピア思想にいたる該博な知識に支えられた多くのエッセー・スタイルの作品によって,特に若い世代の読者を獲得した。主著《サド復活》(1959年),《夢の宇宙誌》(1964年),《思考の紋章学》(1977年,泉鏡花賞),《高丘親王航海記》(1987年,読売文学賞)ほか。全集および翻訳全集がある。三島由紀夫から土方巽に及ぶ特異な交友関係も注目される。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「渋沢竜彦」の解説

渋沢竜彦 しぶさわ-たつひこ

1928-1987 昭和時代後期のフランス文学者,小説家。
昭和3年5月8日生まれ。サド,コクトーなどの現代文学研究を柱に美術評論,文明論も手がけ,異端文学,オカルティズムの紹介者,幻想小説の作者として知られる。昭和36年「悪徳の栄え」の翻訳が猥褻(わいせつ)とされ,サド裁判の被告となった。昭和62年8月5日死去。59歳。東京出身。東大卒。本名は竜雄。著作に「サド復活」,小説に「高丘親王航海記」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android