減収推定(読み)げんしゅうすいてい

改訂新版 世界大百科事典 「減収推定」の意味・わかりやすい解説

減収推定 (げんしゅうすいてい)

作物収量を予想する場合に行う作業で,作物が気象災害(冷害・風水害など)によって被害を受けた場合に,被害を受けない場合(基準収量)に比べてどの程度減収したかを推定すること。その減収程度が30%(場合によっては20%)以上となると,その程度に応じて,農家の掛金と国の資金補助のもとに行われている共済制度によって,共済金が支払われ災害補償が行われる。対象作物はイネ,ムギ,果樹,野菜,畑作物などとなっていて,ほとんどの作物に及んでいる。被害量の推定は,まず農家から選ばれた損害評価員によって,被害申告を受けた耕地について,収穫期に一筆ごとに実地調査をしてその収穫量が推定され(検見という),基準収量-検見収量=被害量として計算される。その場合,その被害量の推定が客観的統一的で,公平・正確であることが求められる。そのために,市町村農業共済組合の中に設けられた損害評価会,都道府県の農業共済組合連合会,農林水産省の各段階で十分に検討される。病害虫による被害は人間の力で防げるという考え方のもとに,別途,減収程度の検討が行われるが,その場合,古く気象災害による減収程度を推定する際に用いられた減収推定尺度表が使用される。

 なお農林水産省では,その年収穫されるであろう米の収量予想を8月15日,9月15日,10月15日に発表している。その作業を農林水産省で行うとき,また他の諸作物の収穫予想をするとき,その計算をするために用いる尺度表がある。〈農作物被害調査必携・夏(冬)作減収推定尺度〉がそれで,かつては共済制度に基づく減収程度推定のために広く用いられていたが,今日では病害虫による被害量推定の場合を除いては,参考程度に用いられるにすぎない。
農業災害補償制度
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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