湧出・涌出(読み)わきでる

精選版 日本国語大辞典 「湧出・涌出」の意味・読み・例文・類語

わき‐・でる【湧出・涌出】

〘自ダ下一〙 わき・づ 〘自ダ下二〙 見えないところにあったものが、突然に現われ出る。わきいず。
① 水などの液体地中から湧いて出る。わきだす。
※天草本平家(1592)四「ダイヂワ サケテ ミヅ vaqide(ワキデ)
② 涙が目からあふれ出る。
青春(1905‐06)〈小栗風葉〉秋「二人は湧出(ワキデ)る涙を拭はうとも為ずに」
③ 物が次々とあふれるように現われ出る。また、虫などが発生する。
日葡辞書(1603‐04)「ムシガ vaqizzuru(ワキヅル)
④ 考え・感情などが、あふれるように出る。
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉九「随意な意味随処に湧き出る訳である」

わき‐い・ず ‥いづ【湧出・涌出】

〘自ダ下二〙
※宇津保(970‐999頃)祭の使「わきいでたる水を見て」
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「わきいづるなみだの河はたぎりつつ恋しぬべくもおぼほゆる哉」
※能因本枕(10C終)一八三「見えざりし調度、装束のわき出る」

ゆ‐じゅつ【湧出・涌出】

〘名〙 (「ゆしゅつ」とも) 出てくること。現われ出ること。わきでること。ゆうしゅつ。
法華義疏(7C前)四「因従地踊出菩薩等。明仏寿長遠
太平記(14C後)二四「周囲三百里にみへたる池水俄に湧(ユ)出して、四面皆七宝の霊池となる」 〔法華経‐従地踊出品〕

わき‐だ・す【湧出・涌出】

〘自サ五(四)〙 液体などが底の方から表面に吹き出してくる。中からわいて出てくる。わきでる。
※唐詩選国字解(1791)五言古「大方大地より湧出したことそうなと法華経の文字を用て驚く体を云」
※この子(1896)〈樋口一葉〉「心から底から沸(ワ)き出(ダ)すほどの涙がこぼれて」

ゆう‐しゅつ【湧出・涌出】

〘名〙 水、温泉石油などがわきでること。ゆじゅつ。ようしゅつ。
輿地誌略(1826)二「洞中清水を湧出し」 〔列子‐湯問〕

よう‐しゅつ【湧出・涌出】

〘名〙 (「よう」は「湧」「涌」の漢音) わき出ること。現われ出ること。ゆうしゅつ。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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