湯本(読み)ゆもと

改訂新版 世界大百科事典 「湯本」の意味・わかりやすい解説

湯本[温泉] (ゆもと)

山口県長門市にある温泉長門湯本温泉ともいう。深川(ふかわ)川の上流音信(おとずれ)川に沿う閑静な谷間の温泉町で,JR美祢(みね)線長門湯本駅から徒歩5分。近くに古刹大寧寺があるが,その3世定庵のとき,住吉明神の神託によって湧出したと伝え,泉源は大寧寺が管理した。泉源は八つで,流紋岩断層帯から湧出する。単純泉,27~46℃。一帯河畔は音信川ゲンジボタル発生地(天)。大寧寺には陶晴賢謀反にあい同寺で自刃した大内義隆主従の墓所があり,約1km上流の三ノ瀬(そうのせ)には萩焼深川窯がある。
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湯本[温泉] (ゆもと)

北海道南西部,後志(しりべし)支庁磯谷郡蘭越(らんこし)町にある温泉。純食塩泉,76℃。ニセコアンヌプリ(1308m)の南西麓,標高560mの高原にあり,ニセコ温泉郷に含まれる。かつて馬場温泉とよばれた湯場であったが,1885年小屋が建てられ,1937年に湯本温泉と改称した。源泉は近くの大湯沼の底からわく間欠泉である。チセヌプリへの登山基地で,夏は登山客,冬はスキーヤーでにぎわう。JR函館本線ニセコ駅からバス通じる。
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湯本[温泉] (ゆもと)

岩手県南西部,和賀郡西和賀町の旧湯田町の北上川の支流和賀川上流にある温泉。1658年(万治1)開湯と伝えられる。湯量豊富で,泉質はボウ硝性苦味泉であり,泉温は85℃。1965年湯田ダムが和賀川下流に竣工し,湯本,湯川,巣郷の3温泉郷と湯田ダムの錦秋湖を結ぶ観光開発が進められ,県立自然公園湯田温泉郷となっている。北上市と横手市を結ぶJR北上線が通じ,陸中川尻駅(現,ほっとゆだ駅)から湯本温泉行きのバスがある。
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湯本[温泉] (ゆのもと)

長崎県壱岐島の北西岸,湯本湾の湾奥部にある温泉。壱岐市に属する。湯本から南東方向に,島を横断する構造線に沿う小規模な流紋岩,石英斑岩などの酸性貫入岩の活動が,温泉源と密接な関係があると推定されている。泉質は臭素を含む純食塩泉,泉温は69℃,壱岐唯一の温泉で,国民温泉に指定されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「湯本」の意味・わかりやすい解説

湯本
ゆもと

福島県いわき市の一地区。旧湯本町で、1954年(昭和29)常磐市(じょうばんし)、1966年いわき市となる。温泉と炭鉱の町として知られたが、炭鉱閉山後は、常磐ハワイアンセンター(現、スパリゾートハワイアンズ)、いわき市石炭・化石館、21世紀の森公園などができた。工業地化も進んでいる。JR常磐線湯本駅、常磐自動車道いわき湯本インターチェンジがあり、国道6号が通じる。

[原田 榮]


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世界大百科事典(旧版)内の湯本の言及

【箱根[町]】より

…古代の箱根山は山岳信仰の聖地で,757年(天平宝字1)には箱根三所権現がまつられたと伝えられる。中世には鎌倉幕府の庇護のもとに栄え,江戸時代に入ると箱根関が置かれ,中心集落の箱根は宿場町として,元箱根は箱根神社の門前町として,湯本は湯治場として発展した。1888年に小田原馬車鉄道が開通し,ついで1900年には小田原電気鉄道(のちの箱根登山鉄道)の路面電車に発展するに及び,近代的な観光保養地として発展を遂げた。…

【ニセコアンヌプリ】より

…火山群の溶岩円頂丘近くには,東西に五色(別称,ニセコ。純食塩泉,80℃),湯本(純食塩泉,76℃),新見(にいみ)(正苦味泉,70℃)の温泉が分布し,山麓中部には山田(別称,比羅夫(ひらふ)。単純硫黄泉,45℃),昆布(純食塩泉,42~53℃),薬師(純食塩泉,42℃)が,尻別川河畔には昆布川(純食塩泉,42℃)の温泉がある。…

※「湯本」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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