日本大百科全書(ニッポニカ) 「湯浅芳子」の意味・わかりやすい解説
湯浅芳子
ゆあさよしこ
(1896―1990)
ロシア文学者、翻訳家。京都府生まれ。本名ヨシ。早稲田(わせだ)大学露文科の聴講生となる。1924年(大正13)中条(宮本)百合子(ゆりこ)と知り合い、一時共同生活をし、さらに27年(昭和2)から3年間、ともにソビエトに滞在した。執筆活動は31年以降活発となり、発表誌は『戦旗』『プロレタリア文学』『女人(にょにん)芸術』『文学評論』『行動』などの文学運動機関誌が主であったが、『文芸春秋』『世界』などの総合誌にも執筆。ツルゲーネフ、サルティコフ・シチェドリン、チェーホフ、ゴーリキーなど19世紀から20世紀のロシア文学の翻訳紹介が多い。随筆集『いっぴき狼(おおかみ)』(1966)、『狼いまだ老いず』(1973)、編著に『百合子の手紙』(1978)などがある。
[尾形国治]
『『狼いまだ老いず』(1973・筑摩書房)』