デジタル大辞泉
「湿」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
しめ・す【湿】
〘他サ五(四)〙
① しめらせる。濡らす。湿りけを与える。
※名語記(1275)八「はり物をしめす、しめし如何。しめしは湿布とも潤布ともかけり、みな義道也」
※京大二十冊本毛詩抄(1535頃)一三「毛心はさむい泉の水があるぞ。我がかってをいた薪をしめさぬやうにせい」
② 水に濡らして火を消す。転じて、
灯火などを吹き消す。
※
御伽草子・おようの尼(室町時代短篇集所収)(室町末)下「さらば火をしめし候べし」
※俳諧・鷹筑波(1638)一「ほうづきやくちびるでしも吹ぬらん〈
玄康〉
蝋燭の火をしめすちゃうちん〈同〉」
しめり【湿】
① 湿ること。水分を含んでうるおうこと。うるおい。湿気。
水気。
※
源氏(1001‐14頃)
梅枝「おのおの
御使して、この
夕暮のしめりに試みむと聞え給へれば」
② 雨が降ること。また、雨。雨を待ち望んでいるときや、望んでいて適度の
降雨があったときにいう。おしめり。
※俳諧・仏の兄(1699)「村はみな法華斗のなびき松 よんべ降たはよいしめり也」
しと・る【湿】
〘自ラ五(四)〙
① 水分を含んでしっとりと濡れる。しめる。しける。
※俳諧・沙金袋(1657)比「
あかつきのしとる
羽二重や衣がへ〈貞長〉」
② 落ち着く。
※玉塵抄(1563)
三六「
沈勇にして性がしづみしとってけなげにして思案ふかうして大なことをようないたぞ」
しつ【湿】
〘名〙
① しめりけ。湿気。うるおい。また、しめったものやところ。
しち。
※
徒然草(1331頃)一七一「風に当り、湿に臥して、病を
神霊に訴ふるは、愚かな人なり」 〔易経‐乾卦〕
※俳諧・炭俵(1694)上「敷金に弓同心のあとを継〈野坡〉 丸九十日湿をわづらふ〈利牛〉」
しめし【湿】
〘名〙 (動詞「しめす(湿)」の連用形の名詞化)
① しめらせること。ぬらすこと。
※俳諧・犬子集(1633)三「朝露はただ蛍火のしめし哉〈円成〉」
② 小児の大小便を取るために腰から下に巻く布。おしめ。おむつ。
※歌舞伎・芽出柳緑翠松前(1883)三幕「おお泣きやんな泣きやんな久しう乗って居たゆゑに、しめしの汚れた時分、今に取替へて遣りますわいの」
しめら‐・う ‥ふ【湿】
〘自ハ四〙 (動詞「しめる(湿)」の未然形に反復・継続の助動詞「ふ」が付いて一語化したもの) 水にぬれつづける。ひっきりなしにぬれる。蒸し暑くて、汗が流れつづける。
※大野広城本散木奇歌集(1128頃)秋「秋来ては風ひややかなる暮もあるに暑さしめらひむつかしの身や」
しめら・す【湿】
〘他サ五(四)〙 水分を含ませる。水気を帯びさせる。
※西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉八「『ラムネ』に咽(のど)を湿(シメ)らし」
しとり【湿】
〘名〙 (動詞「しとる(湿)」の連用形の名詞化) 水分を含んでしめっていること。また、そのしめり。しっけ。うるおい。
※浮世草子・浮世栄花一代男(1693)二「汗のしとりをふきて」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報