漆箔(読み)うるしはく

精選版 日本国語大辞典 「漆箔」の意味・読み・例文・類語

うるし‐はく【漆箔】

〘名〙
① 鳥の子紙に塗った漆の箔。黒く光沢があり帯地の緯(よこいと)などに入れる。
② 漆に染料をまぜた箔。本の背文字装丁などに用いる。
仏像に漆を塗って金箔を押したもの。

しっ‐ぱく【漆箔】

〘名〙 漆の上に金箔、銀箔を接着する技法木彫乾漆像に用いる。うるしはく。〔日葡辞書(1603‐04)〕

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デジタル大辞泉 「漆箔」の意味・読み・例文・類語

うるし‐はく【漆×箔】

仏像彫刻などで、漆を塗った上に金箔を押したもの。
鳥の子紙に漆を塗ったもの。裁断して漆糸に用いる。
漆に染料をまぜて箔にしたもの。書物の装丁の背文字などに使う。

しっ‐ぱく【漆×箔】

漆を塗った上に金箔・銀箔をつける技法。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「漆箔」の意味・わかりやすい解説

漆箔
しっぱく

「うるしはく」ともいう。金箔を漆で接着させる技法。主として木造彫刻乾漆(かんしつ)像などに用いる。木地下地を施し、さらに上塗漆を塗って金箔を張る。ほとんど木像に限られているが、石像塑像のほか、鎌倉大仏のように、銅像でありながら、鍍金(ときん)(金めっき)ができないので漆箔を施したものもある。平安末から鎌倉初期にかけては、像の胎内にも金箔や銀箔を張るという特殊な例もみられる。また中尊寺金色堂は建築に漆箔の技法を用いた例である。彫刻の場合、全身に漆箔する(ただし髪部は漆箔せず群青(ぐんじょう)彩とする)ものと、肉身部だけ漆箔とし、衣の部分には彩色を施すものとがある。

[佐藤昭夫]

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