演劇批評(読み)えんげきひひょう(英語表記)dramatic criticism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「演劇批評」の意味・わかりやすい解説

演劇批評
えんげきひひょう
dramatic criticism

戯曲演技,演出など,演劇上演活動の成果に関する評価と批評をいう。古くは前 3000年のエジプトに演劇に関する批評がみられるが,理論的,分析的考察は,前4世紀のアリストテレスの『詩学』に始る。その後,中世の空白のあと,ルネサンス期にイタリアとフランスで復活,多くの新古典主義の理論家を生んだ。 17世紀末から 19世紀にかけては,個々の作品論や演技論が中心であったが,19世紀末から 20世紀にかけて,再び自己の演劇論表明としての演劇批評が盛んになった。現在では,テレビ・新聞などのメディアの発達によって,リアルタイムで発表されることが多くなり,劇評家の公演に対する影響力が強くなっている。その一方で,雑誌などでは,伝統的な演劇論としての演劇批評が盛んである。日本では,江戸時代の『役者評判記』が演劇批評の役割を果していたが,明治以後分析的,理論的な批評が書かれるようになった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の演劇批評の言及

【劇評】より

…〈演劇批評〉の略語とも考えられるが,日本では一般に,〈演劇批評〉はより広義に,戯曲,演出など演劇表現全般に関する批評,評論をいい,〈劇評〉の方は上演された演劇の具体的な舞台成果を,おもに俳優(役者)の演技を中心に直接的に批評する場合をいう。
[近代以前の日本]
 〈劇評〉という言葉は明治以後に使用され普及したもので,江戸時代にはその用例を見ない。…

※「演劇批評」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android