漫ろ(読み)ソゾロ

デジタル大辞泉 「漫ろ」の意味・読み・例文・類語

そぞろ【漫ろ】

[形動][文][ナリ]《「すずろ」と同語源》
これといった理由もなしにそうなったり、そうしたりするさま。なんとなく。「漫ろに寂しさを覚える」
心が落ち着かないさま。そわそわするさま。「結婚式が近いので気も漫ろだ」
不本意なさま。意に満たないさま。
「この君のかく―なる精進をしておはするよ」〈かげろふ・中〉
かかわりのないさま。
「―なる古いかうべを白い布に包んでたてまったりけるに」〈平家一二
むやみなさま。やたら。
「かたくななる人のその道知らぬは、―に神の如くに言へども」〈徒然・七三〉
[副]わけもなく。なんとなく。「漫ろ寒さが身にしみる」
[類語]足が地につかない気が気でない気が揉める居ても立ってもいられない矢も盾もたまらない不安考え事思案物思い心配気疲れ気苦労心痛心労懸念恐れ憂慮取り越し苦労杞憂悲観恐れる危惧きぐ危懼きく疑懼ぎく胸騒ぎ気がかり心がかり不安心心細い心許こころもとない憂い気遣いわずら怖い危なっかしいおぼつかない頼り無いおののく動揺心騒ぎ煩慮憂惧ゆうぐ憂懼ゆうく憂い事気遣わしい痛心鬼胎ひやひやはらはらどきどきおどおどあぶなあぶな恐る恐るこわごわおっかなびっくりおじおじおずおずびくびくこわがる臆するおびえるびくつくおじるおじける恐怖恐れをなす悪びれる案ずる生きた心地もしない気になる気に病む居たたまれない

すずろ【漫ろ】

[形動][文][ナリ]《「そぞろ」と同語源》
(多く「すずろに」の形で)あてのないさま。また、これといった理由・目的のないさま。漫然。
「人をして―に尊敬の念を起こさせる」〈倉田愛と認識との出発
陸奥みちの国に―に行きいたりにけり」〈伊勢・一四〉
意外なさま。思いがけないさま。
「うたてあるぬしのみもとに仕うまつりて、―なる死にをすべかめるかな」〈竹取
興趣のないさま。面白くないさま。
きぬなどに―なる名どもを付けけむ、いとあやし」〈・一三四〉
あるべき程度を超えているさま。むやみ。やたら。
「―なる酒のみは衛府司のするわざなりけり」〈宇津保嵯峨院
思慮のないさま。軽率。
「―に言ひ散らすは、さばかりの才にはあらぬにやと聞こえ」〈徒然・一六八〉

すぞろ【漫ろ】

[形動ナリ]すずろ」に同じ。
「聖もこれを見奉って―に墨染めの袖をぞ絞りける」〈平家・一二〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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