濃餅汁(読み)ノッペイジル

デジタル大辞泉 「濃餅汁」の意味・読み・例文・類語

のっぺい‐じる【濃餅汁/能平汁】

油揚げ・シイタケニンジンサトイモダイコンなどを煮込み、塩・醤油などで調味し、片栗粉やくず粉でとろみをつけた実の多い汁。のっぺい。ぬっぺい。 冬》
[類語]汁物吸い物あつもの澄まし汁お澄ましつゆお付け味噌汁おみお付け粕汁納豆汁薩摩汁けんちん汁豚汁とろろ汁三平汁鯉濃こいこく水団すいとん

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改訂新版 世界大百科事典 「濃餅汁」の意味・わかりやすい解説

濃餅汁 (のっぺいじる)

野菜鶏肉などを煮て,デンプンでとろみをつけた汁。ダイコン,ニンジン,ゴボウ,サトイモ,シイタケ,こんにゃく,油揚げ,鶏肉などを取り合わせてしょうゆ味の汁で煮,片栗粉,小麦粉などの水溶きを加える。古くは鳥の煮物料理だったようで,《料理物語》(1643)には〈のつへいとう〉の名で,〈鴨をいり鳥のごとくつくり,だしたまりにてにる。にえたち候とき,かげんすいあはせ,うどんのこをだしにてとき,ねばるほどさし,にえたち候時出し候。ぼと鴫(しぎ)なども,うづらも〉と記載され,別に〈ふののつへいとう〉として,麩(ふ)を油で揚げて大きく切り,〈鴨の料理のごとくいたしてよし〉ともしている。この〈のつへいとう〉がまもなく〈のつぺい〉と呼ばれるようになったようで,《江戸料理集》(1674)と《和漢精進料理抄》(1697)はともにそれを〈のつへい〉の名で記載している。江戸後期にはこれを売物にする店もでき,江戸近郊では堀の内妙法寺門前の〈しがらき〉が有名であった。
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百科事典マイペディア 「濃餅汁」の意味・わかりやすい解説

濃餅汁【のっぺいじる】

〈ぬっぺい〉ともいい〈能平〉とも書く。野菜に鳥獣肉をあしらい,クズ粉や小麦粉を加えてとろみをつけた汁。サトイモ,ダイコン,ニンジン,シイタケ,油揚,こんにゃく,鶏肉などを煮て塩,醤油で調味し,クズ汁などを加える。

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