濰坊(読み)いぼう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「濰坊」の意味・わかりやすい解説

濰坊
いぼう / ウェイファン

中国、山東(さんとう)省中部、莱州(らいしゅう)湾に注ぐ白浪河(はくろうが)河畔の地級市。1948年に濰県坊子(ぼうし)とが合併して成立した。人口883万3000(2014)。4市轄区、2県を管轄し、6県級市の管轄代行を行う(2016年時点)。濰坊年画(ねんが)(春節に飾る絵)、凧(たこ)、レース編などの伝統的な手工芸品を産し、綿紡織、ディーゼルエンジン製造などの近代工業も発達している。坊子には大規模な非粘結炭産出する炭田がある。山東半島河南(かなん)省を結ぶ交通の要地で、膠済(こうさい)線(青島(チンタオ)―済南(さいなん))が東西に通る。小麦やラッカセイなどの集散地で、山東省中部における経済の中心地である。

[駒井正一・編集部 2017年1月19日]

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改訂新版 世界大百科事典 「濰坊」の意味・わかりやすい解説

濰坊 (いぼう)
Wéi fáng

中国,山東省の市。人口138万(2000)。昌濰地区の中心。済南より青島,烟台へ向かう膠済鉄道に沿い,山東半島のつけ根,沂山の北麓にある。省北東部の商工業交通の中心で,農業は小麦,大豆,コーリャンなどの畑作。山東葉タバコの産地としても有名。濰坊とは濰県と坊子が合併してできたもので,濰県は漢の北海郡平寿県の地で,以後北海郡,濰州の中心であった。坊子は市の南にある鎮で,石炭の産出で知られる。黄河下流域と南方を,海岸側で結ぶ要衝にあり,古くから開けた。伝説で禹の子孫という斟尋(しんじん)国の地ともされる。明・清代には商業を基盤として富豪となったものが多く,その邸宅や収蔵されている文化財にはみるべきものが多い。十笏園(丁家花園),万印楼(十鍾山房)はとくに有名。
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