火の玉模型(読み)ひのたまもけい(英語表記)fireball model

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「火の玉模型」の意味・わかりやすい解説

火の玉模型
ひのたまもけい
fireball model

高エネルギー中間子多重発生機構を説明する有力な模型。 1958年に丹生潔,G.コツコニ,M.ミエソビッツによって独立に提唱された。高エネルギーの核子と核子の衝突の際,火の玉と呼ばれる中間生成物を生じ,それらが多数の中間子に崩壊する。火の玉の質量は崩壊して生じる中間子の数に比例する。火の玉の内部では熱平衡が実現し,中間子はその重心系で等方的に放出される。高エネルギー加速器実験でしばしばクラスターと呼ばれる中間生成物の発生が唱えられ,素粒子反応における火の玉模型の重要性がうかがわれる。 (→多重発生 )

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android