災害統計(読み)さいがいとうけい

改訂新版 世界大百科事典 「災害統計」の意味・わかりやすい解説

災害統計 (さいがいとうけい)

災害には,(1)異常な地球物理的現象(地震,津波,台風,豪雨豪雪など)により人または財産,生産物などの受ける被害と,(2)日常偶発的に起こる事象火災,交通事故,ガス爆発,作業中の事故など)により人または財産などが受ける被害とがあり,それぞれについての統計を災害統計(広義)と呼ぶ。ときに(2)については事故統計とも呼ばれる。災害統計はそれらの災害について,原因,被災対象,数量,期間,場所または分布,損害見積額などを明らかにし,災害の予防,救助賠償,対策などの措置,検討に基礎資料を提供し,生命,身体,財産の保護,社会秩序と安全に役だたせるものである。災害統計を分類すれば,(1)災害を与えた側からの統計(震災,風水害,雪害,冷干害,崖崩れなどの自然災害,および火災,陸海空交通事故など),(2)災害を受けた側からの統計(人員,公共土木施設(河川,道路,港湾空港など),建築物,山林,農水産物,船舶車両など)となる。分類(1)の災害統計は(2)の必要項目を集めて作られ,分類(2)の統計は(1)の必要項目を集めて得られる。全国規模の年間統計は総務庁統計局編《日本統計年鑑》に収録されているが,冒頭(1)(2)の中の個別の災害については政府各省より出される統計年報に,また年ごとの状況については各省の白書に記載されている。《運輸白書》(運輸省),《消防白書》(消防庁),《建設白書》(建設省),《交通安全白書》(総務庁),《防災白書》(国土庁)などである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「災害統計」の意味・わかりやすい解説

災害統計
さいがいとうけい
disaster statistics

災害の原因,被害対象,規模 (死傷者数,被害範囲など) ,期間,場所,被害額など,災害に関する一切の統計の総称。 (1) 自然災害統計,(2) 火災統計,(3) 海難統計,(4) 交通事故統計,(5) 労働災害統計の5つに大別することができる。 (2) は消防庁が作成,『火災月報』『火災年報』に公表される。 (3) は船舶の衝突,沈没,火災あるいは損傷,または積荷の被害などに関するもので,国土交通省が作成,『海難統計月報』『海難統計年報』に公表される。 (4) は道路上の交通事故と軌道上の交通事故に分けられ,前者は警察庁が作成して『交通事故統計年報』に公表,後者は国土交通省が『私鉄統計年報』にそれぞれ公表する。 (5) は厚生労働省が,常用労働者 30人以上の鉱工・運輸・通信業などの事業所からの報告をまとめて作成,公表している。また鉱山災害については,別に,経済産業省が『鉱山保安年報』で鉱山災害統計を発表している。 (1) については前4者とは異なり,その性格上単一の省庁によるものはなく,警察庁が作成して『災害月報』で公表するもののほか,災害を受けた対象ごとに,それぞれの所管行政機関によってまとめられ,毎年『防災に関してとった措置の概況』に発表されている。

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