炉址（読み）ろし

精選版 日本国語大辞典

ろ‐し【炉址】

〘名〙 縄文から彌生の時期にかけて住居址の内外に見られる囲炉裏の跡。底を抜いた甕、鉢などの土器を埋めたり、川原石で囲ったりしたものがある。「ろあと」とも。

出典　精選版 日本国語大辞典

日本大百科全書(ニッポニカ)

炉址
ろし

炉として使用された跡をいう。炉は人類が日常生活のために、火を制御・管理する設備で、地面を掘りくぼめた地床(じしょう)炉や石囲い炉などの形態がある。炉と認められるものは前期旧石器時代より存在する。日本でも旧石器時代の遺跡から炉が検出されているが、縄文早期までは屋外炉が一般的と考えられ、発見例は少ない。縄文前期以降には住居の中に炉が取り込まれ、通常は住居址の中央部に検出される。古墳時代以降になると住居内に竈(かま)も築かれるようになり、炉の役割の一部が分化する。現在のいろりや東南アジアの高床(たかゆか)住居の床面に据えられた火床(かしょう)も炉とみなされる。地表に痕跡(こんせき)が残らないため実証は困難であるが、古代にもこのような炉の形態も考えられる。

［植山　茂］

[参照項目] | 炉

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)