精選版 日本国語大辞典 「烏・鴉」の意味・読み・例文・類語
からす【烏・鴉】
〘名〙
① カラス科の鳥のうち、全身黒色で大形の陸鳥の総称。全長五〇~六〇センチメートルぐらいで、雌雄とも光沢がある。人家付近にすむことが多く、雑食性でネズミ、カエル、昆虫、穀物、果実などを食べる。春、樹頂近くに巣をつくる。知能は高く鳥類中最も進化した類とされる。日本では、くちばしの太いハシブトガラスと、細いハシボソガラスがふつう。ひもすどり。かしましどり。
▼からすの子《季・夏》
※万葉(8C後)一四・三五二一「可良須(カラス)とふ大軽率鳥(おほをそどり)の真実(まさで)にも来まさぬ君を児(こ)ろ来(く)とそ鳴く」
② ①の姿を図案化したもの。
※俳諧・西鶴大矢数(1681)第三二「熊野を勧請神楽願西 堅の血判烏が事は成次第」
(ロ) 烏をかたどった紋所の名。舞い違い烏、三羽烏、八羽烏などの種類がある。
③ 形や色が①に似ているもの。
(イ) 女性が結髪のときに用いる添え髪。髢(かもじ)。
※雑俳・柳多留‐二八(1799)「奥様のおぐしにとんび烏なし」
(ロ) (黒い頭巾を被っているところから) 「うたびくに(歌比丘尼)」の異称。
※雑俳・川柳評万句合‐安永四(1775)義五「からすめはかへるにたかは見せを出し」
(ハ) 黒くつやのある色。
(ニ) 筆で紙に罫(けい)を引く時、あやまって墨が広がった部分。
※随筆・秉穂録(1795‐99)一「俗に、界行紙を作る筆の、あまりて、墨つきたるを、からすといふ」
(ホ) (黒いことをもじって) 玄人(くろうと)。
④ 性質や行動が①と似ているもの。
(イ) 声高くうるさく言いたてる人。口やかましい人。
(ロ) よく物忘れをする人。
(ハ) 意地がきたない人。
⑤ 船遊女をいう。
⑥ 「からすがね(烏金)」の略。
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