烏丸(読み)からすまる

精選版 日本国語大辞典 「烏丸」の意味・読み・例文・類語

からすまる【烏丸】

[1] 烏丸小路のこと。現在の京都市烏丸(からすま)通りにほぼ同じ。
※金刀比羅本平治(1220頃か)下「宿は三条烏丸(カラスマル)なり。主の男といひけるは」
[2] 〘名〙
① 暑気払いの薬、枇杷葉湯(びわようとう)異称本舗が京都烏丸にあったところからいう。
※雑俳・柳多留‐五六(1811)「真黒になって売のは烏丸」
② (夏になると、宣伝のために、①の釜を店先にすえ、道行く人のだれにでも飲ませたところから) だれにでもふるまうこと。転じて、尻の軽い女、多情な女をいう。
黄表紙・天道浮世出星操(1794)「なるほどあの女郎は手のあるやつだぞ。せんじゅくんおんはだしまいりだ。しかしおへねえからすまるだす」

からすま【烏丸】

[一] 「からすまる(烏丸)」の京都での言いならわし。

からすまる【烏丸】

姓氏の一つ

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デジタル大辞泉 「烏丸」の意味・読み・例文・類語

うがん〔ウグワン〕【×烏丸/××桓】

代に、中国北方にいたアルタイ語系遊牧民族。前3世紀に匈奴きょうどに敗れた東胡の後裔。後漢末期に勢力を強め、中国北辺を侵したが、207年に曹操そうそうに滅ぼされた。

からすまる【烏丸】

平安京南北の小路。現在の烏丸からすま通りにあたる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「烏丸」の意味・わかりやすい解説

烏丸
うがん

漢―北魏(ほくぎ)間の中国北方にいたアルタイ語系遊牧民族。烏桓とも書く。古くは東胡(とうこ)とよばれ、東胡が紀元前3世紀末に匈奴(きょうど)に撃破されると残部は2部に分かれ、北方シラムレン川流域を根拠地としたのが鮮卑(せんぴ)、南方ラオハ川流域に根拠地を置いたのが烏丸とよばれた。中国正史によれば、狩猟交易のほか、季節的農耕の痕跡(こんせき)もある。シャーマニズムを信仰し、初め統一勢力はなく、非世襲の大人(たいじん)に統率されて地域ごとに分立し、匈奴に服属していたが、のち漢にも朝貢し、漢の匈奴抑制策の一翼を担い、両者に属するようになった。後漢(ごかん)末に至り、大人が世襲化し、蹋頓(とうとん)が柳城を拠点として大部分を統一する勢力を形成したが、河北を平定した魏の曹操(そうそう)(155―220)により壊滅させられた。残部は多く鮮卑に従い、のち4世紀にかけて鮮卑とともに中国内地に移入して農耕民化し、北魏以降、漢民族と融合の度合いを深めていった。

片桐 功]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「烏丸」の解説

烏丸(うがん)
Wuwan

烏桓(Wuhuan)とも書く。匈奴(きょうど)冒頓単于(ぼくとつぜんう)によって滅ぼされた東胡(とうこ)の後裔で,東部内モンゴルのラオハ川流域を本拠としたトルコ系もしくはモンゴル系の遊牧民。匈奴に服属していたが,匈奴が南北に分裂すると(48年),後漢に朝貢し,後漢は烏丸を懐柔して匈奴,鮮卑(せんぴ)を防御する任にあたらせた。2世紀中葉から匈奴,鮮卑とともに後漢に侵攻して強大になったが,後漢末に曹操(そうそう)の親征を受けて(207年)烏丸の勢力は壊滅した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「烏丸」の意味・わかりやすい解説

烏丸
うがん
Wu-wan

烏桓 Wu-huanとも写す。漢代から三国のの初頭にかけて,内モンゴル東部を中心に活躍した遊牧民族。その言語については記録がほとんどないが,同種の鮮卑族の言語がトルコ語またはモンゴル語で解釈されるところから,トルコ民族かモンゴル民族であろうとされている。ラオハ川流域を本拠とし,匈奴に服属していたが,匈奴が南北に分裂すると (48) ,族長たちは後漢に下ってその北辺を防備。後漢が衰えると独立し,一時強大になったが,魏の曹操に敗れて (207) ,中国の北辺,内地に移住させられた。北魏の華北統一以後,次第に漢民族に融合していった。

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普及版 字通 「烏丸」の読み・字形・画数・意味

【烏丸】うがん

墨。

字通「烏」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の烏丸の言及

【烏桓】より

…前2~後3世紀初,内モンゴルのラオハ川流域を中心に活動した遊牧民族。烏丸とも記され,前206年ころ匈奴の冒頓単于(ぼくとつぜんう)に滅ぼされた東胡の一派。族名については,蒙古語ukhaghan(賢),unagan(奴隷)などとする説がある。…

※「烏丸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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