無為替輸出入(読み)むかわせゆしゅつにゅう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「無為替輸出入」の意味・わかりやすい解説

無為替輸出入
むかわせゆしゅつにゅう

荷為替を取り組まずに貨物輸出することを無為替輸出、荷為替を伴わずに貨物を輸入することを無為替輸入という。無為替輸出は、(1)輸出代金が先方からの送金による場合、(2)銀行に輸出代金の取立てを依頼する場合、(3)クレームの処理のために代替品を輸出する場合、(4)代理店の手数料を代替貨物で送付する場合のように、なんらかの形で決済の伴うものと、(5)贈り物、引っ越し荷物、救恤(きゅうじゅつ)品、アフター・サービスなどの無償の無為替輸出とがある。なお、わが国の輸出決済方法の規制は1980年(昭和55)12月の輸出貿易管理令の一部改正により大幅に緩和され、その後も随時、決済規制の緩和が行われ、86年3月現在、代金後払いと無為替輸出について船積み日後2年未満の期間に代金を受領する方法であれば、原則として輸出の承認を要しなくなった。

 また無為替輸入には、(1)試験研究用貨物、商品見本、贈与品などで、無償のもの、(2)クレームの結果、無償で輸入される代替品、(3)外貨債権等を引き当てとして輸入される貨物、(4)すでに適法に決済ずみで輸入される貨物、(5)委託加工貿易契約に基づいて輸入される貨物などがある。しかし、輸入割当品目に該当する貨物(輸入貿易管理令第9条に規定)を輸入する場合は、たとえ無為替輸入であっても、輸入発表に基づいて輸入割当てを取得する必要がある。

[鳥谷剛三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android