熊谷直孝(読み)くまがい・なおたか

朝日日本歴史人物事典 「熊谷直孝」の解説

熊谷直孝

没年:明治8(1875.2.3)
生年:文化14.6.15(1817.7.28)
幕末維新期の商人。京都の香商鳩居堂7代目当主。香具屋久右衛門とも称す。字は公友,号は酔香。父直恭と共に早くから頼山陽らと親交があり,勤王派町人として知られた。勤王派公家とも交友があり,倒幕運動に資金的援助をした。豪胆な面もあり,資金を要求されたとき,店内の銭箱の中身を見ることなくそのまま与えたというエピソードを残している。慶応3(1867)年の鷲尾隆聚の高野山挙兵にもひそかに軍資金を渡し,岩倉具視の指示で大坂徳川方の状況をさぐるなどの役割も果たしている。維新期には新政府の資金調達に1500両を供出したとされる。明治初年に種痘所の有信堂を再建,また全国最初の小学校(上京第27校)を明治2(1869)年に開校させるなど京都大年寄として近代化に積極的な役割を果たした。墓は京都の大雲院(東山区)。

(森谷尅久)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

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