精選版 日本国語大辞典 「熊野・湯谷」の意味・読み・例文・類語
ゆや【熊野・湯谷】
[一] 謡曲。三番目物。各流。作者未詳。「平家物語」による。平宗盛の寵愛をうけている熊野(ゆや)は、故郷遠江(とおとうみ)の母が病気なので暇を請うが許されず、かえって清水への花見の供をいいつけられる。酒宴が始まっても心の浮かぬ熊野は舞を舞うが、にわかに雨が降ってきて花を散らすのを見て、「いかにせん都の春も惜しけれど馴れし東の花や散るらん」と和歌をよむ。これを聞いた宗盛は熊野の心を哀れに思い暇を与える。
[二] 山田流箏曲。流祖山田検校の四代表曲(四つ物)の一つで、(一)の後半を圧縮した内容。能の気分を生かした語り物風。
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