岩石学辞典 「熔岩流」の解説
熔岩流
熔岩はマグマが地表に噴出したもので,マグマは概念的なものであるのに対して熔岩は現実にある物質である.この熔岩が地表で流動し固化したものを熔岩流という.熔岩流として流動するためには粘性がある程度低くなければならないので,熔岩の岩質と密接に関係しており,一般に熔岩流となるのは玄武岩ないし安山岩がほとんどである.
熔岩流は玄武岩の熔岩では太い縄を捩ったような産状のものがあり,縄状熔岩(ropy lava)という.この形態の熔岩をハワイの火山ではパホエホエ熔岩(Pahoehoe lava)とよんでいる.これに対して粗い表面でできた角張った岩塊の累積したものを塊状熔岩(block lava)といい,安山岩や石英安山岩には普通にみることができる.ハワイの火山ではこれをアア熔岩(Aa lava)という.アア熔岩と塊状熔岩とは同意語として使用されているが,フィンチは両者を区別すべきものであるとし,塊状熔岩は滑らかな平面で囲まれた多角形の岩塊の累積よりなり,アア熔岩とはとげとげした破片で覆われた特徴があるとしている[Finch : 1933,久野 : 19564].
熔岩流の周囲が固結した後に,まだ内部の流動性を保った部分が流れ去ると内部が空同化して熔岩トンネル(lava tunnel),あるいは溝状地形の熔岩溝(lava trough, lava channel)が形成される.熔岩流が海中に噴出し急冷固化すると枕状熔岩(pillow lava)が形成される.