父島(読み)チチジマ

デジタル大辞泉 「父島」の意味・読み・例文・類語

ちち‐じま【父島】

東京都小笠原諸島の中心をなす島。二見港がある。父島列島を形成する島の一つ。面積約24平方キロメートル。

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日本歴史地名大系 「父島」の解説

父島
ちちじま

東京から南南東へ約一〇〇〇キロの海上に位置する小笠原諸島中最大の島。面積は二三・九九平方キロ。小笠原諸島の中心の島でもある。玄関口である二見ふたみ港は島の北西にある天然の良港で、台風時には近海で操業中の漁船の避難港としても重要な拠点になっている。最高峰は中央ちゆうおう(三一九メートル)で、北には三日月みかづき(二二七メートル)あさひ(二六七メートル)夜明よあけ(二〇七メートル)、南には時雨しぐれ(二一七メートル)天之浦あまのうら(二四三メートル)などが連なり、大村おおむら川・奥村おくむら川・八ッ瀬やつせ川などの小河川がある。平地には二見港に面した大村・奥村地区で、国の総合事務所・東京都支庁・小笠原村役場や都立高等学校・小中学校などがあり、官公庁街になっている。

延宝三年(一六七五)には幕府調査船が二見湾に投錨して島内の調査を行い、天照大神宮・八幡大菩薩・春日大明神を勧請し、「大日本ノ内也、島ノ為見分、閏四月二十九日朝着船、同六月五日日本へ出船下田ニ相帰、延宝三年乙卯五月吉日」の木標を建て、その後の漂着船乗組員がこれを確認している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「父島」の意味・わかりやすい解説

父島
ちちじま

東京都小笠原村(おがさわらむら)にある火山島。面積24平方キロメートル、周囲52キロメートル。父島列島の主島で小笠原諸島中最大の島である。日本列島とほぼ直角に太平洋を南下している海底火山脈に属している。海岸は海食地形が発達し、起伏に富んでいるが平地は乏しい。最高は中央山の318メートル。地質はおもに安山岩、玄武岩類の火山岩と、その岩片などを含む集塊岩、凝灰岩であるが、一部にサンゴ石灰岩地帯がある。第二次世界大戦後、アメリカ軍の統治下に置かれ、1968年(昭和43)返還、1972年小笠原国立公園に指定された。諸島唯一の良港である二見港は、湾口は狭いが水深があり、大型船舶の停泊、錨泊(びょうはく)も可能である。港の周囲には小笠原支庁をはじめ、小笠原村役場、水産センターなどがある。東京都に属しながら、亜熱帯に位置し、気候風土のまったく異なる魅力ある観光地でもある。東京竹芝と父島二見港間には定期船が就航して、現在年間2万数千の観光客を運んでいる。人口1957人(2009)で、諸島全人口の約70%が居住している。

[菊池万雄]

『友永成太著『小笠原 父島/母島』(1994・旅行読売出版社)』『地図の本編集部編『小笠原諸島』(1995・日地出版)』『松本一雅著『長期滞在者のための小笠原観光ガイド 父島の昔と今』(1998・やまもぐら)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「父島」の意味・わかりやすい解説

父島
ちちじま

東京都小笠原諸島中央部にある主島。東西約 5km,南北約 8kmの火山島で父島列島の中心の島。小笠原支庁小笠原村に属し,小笠原支庁の所在地。文政13=天保1(1830)年,アメリカ人 5人がハワイのカナカ人(→カナカ族)二十数人を開拓に従事させたのが,今日の欧米系島民の祖先。第2次世界大戦後アメリカ合衆国海軍の管理下にあったが,1968年に返還された。戦前はサトウキビバナナの栽培が盛んであったが,今日では水産業が中心。北部の二見港は水深 40mの良港。熱帯魚とサンゴ礁が多く,観光開発が期待されている。小笠原国立公園に属する。集落近郊を除く陸域と周辺海域が 2011年世界遺産の自然遺産に登録された。面積 23.80km2。人口 2015(2000)。

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世界大百科事典(旧版)内の父島の言及

【小笠原諸島】より

…伊豆諸島の南方,太平洋上にある聟島列島父島列島母島列島硫黄列島(火山列島),西之島南鳥島沖ノ鳥島の小島を含む島嶼(とうしよ)群。全域が東京都小笠原支庁小笠原村に属し,行政中心は父島の大村で,東京都小笠原支庁がおかれ,母島に出張所がある。…

【父島列島】より

小笠原諸島の中心をなす列島。北緯27゜02′~12′,東経142゜09′~15′に位置し,最大の父島(面積25km2),兄島(8km2),弟島(5km2)を中心に孫島,西島,東島,南島などの小島からなる。列島の総面積は39km2。…

※「父島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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