牢籠(読み)ろうろう

精選版 日本国語大辞典 「牢籠」の意味・読み・例文・類語

ろう‐ろう ラウ‥【牢籠】

〘名〙
① とりこめること。ひとまとめに自分のものとすること。
性霊集‐六(835頃)弘仁太上奉為桓武皇帝講御札法花経達一首「牢籠三界、綿絡四生」 〔淮南子‐本経訓〕
人前に出ないこと。勝手にひきこもること。
※小右記‐寛仁元年(1017)八月二一日「此間牢籠不御送
作法に従わないこと。あわててとりみだすこと。
※小右記‐正暦六年(995)正月二日「左大臣追参於院乗車〉参議時光乗車、牢龍候院」
源氏(1001‐14頃)若菜下「胸つぶれて、かかる折りのらうろうならずはえ参るまじく」
④ 正当でないこと。
※小右記‐長徳三年(997)七月五日「謂年号村上朝之年号、除目者冷泉院之除目、配代之冷泉院御宇耳、牢籠之詞」
主権を犯され、自由を失うこと。
※東南院文書‐天喜四年(1056)二月二三日・散位藤原実遠所領譲状案「右、件所所先祖相伝領掌、老乱之間、或荒廃或牢籠」
太平記(14C後)三三「故無く懸命の地を没収せられ、伯父甥共に牢籠(ラウロウ)の身と罷なる間」
⑥ 勢力が衰えること。窮乏没落・流寓すること。
明月記‐建久九年(1198)二月一九日「修理用途可七千疋歟〈略〉自上可三千疋之由被仰。上下牢籠之間、大略欲闕如
籠絡すること。人をうまくまるめこむこと。
※青表紙一本源氏(1001‐14頃)藤袴「おほぞうの宮仕へのすぢに、らうろうせむ」 〔唐玄宗‐巡省途次上党旧宮賦〕
牢屋に押し込めること。また、牢屋に押し込められること。

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デジタル大辞泉 「牢籠」の意味・読み・例文・類語

ろう‐ろう〔ラウ‐〕【×牢籠】

引きこもること。勤務につかないこと。
「上卿皆以て辞退し―の間、自ら懈怠を致すなり」〈中右記・寛治七年一〇月〉
苦しみこまること。困窮すること。
神主―の事ありて」〈著聞集・一〉
衰えること。落ちぶれること。
仏法衰微、王報の―、まさにこの時にあたれり」〈平家・四〉
自分の手中に入れ、自由に操ること。籠絡ろうらくすること。
「三界を―し、四生を綿絡して」〈性霊集・六〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「牢籠」の読み・字形・画数・意味

【牢籠】ろう(らう)ろう

包括する。また、術中に陥れる。〔唐言、三〕(慈恩寺題名游賞賦詠雑記、論)科第の設けらるるは、革多し。、亂を撥(をさ)めて正に反し、特に科名んにするは、志は(えいげん)を牢籠するに在り。

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