さい【犀】
[1] サイ科に属する
哺乳類の総称。体は巨大で、体高一・二~二メートル。頭が大きく四肢は太いが比較的短い。鼻の上に一ないし二本の角質でできた角
(つの)があり、足に三個の
ひづめがある。体色はふつう灰褐色で、皮膚は厚く毛はないか、あるいはほとんどない。
熱帯の
湿地や
草原にすみ草食性。
アフリカに角が二本の
クロサイと
シロサイ、インドに角が一本のインドサイなどが分布。インドサイの角は犀角
(さいかく)と呼ばれ
解熱などに用いられる。〔十巻本和名抄(934頃)〕
[2]
謡曲。四番目物。廃曲。作者不詳。
別名「
犀川」「和泉小次郎」。和泉小次郎が頼朝の命を受けて信濃国犀川
(さいがわ)に行き、犀を格闘の末に殺してその角を得る。
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デジタル大辞泉
「犀」の意味・読み・例文・類語
さい【×犀】
奇蹄目サイ科の哺乳類の総称。陸上では象に次ぐ巨獣で、皮膚は厚く、毛はほとんどない。鼻先にある1本または2本の角は皮膚が角質化したもので、漢方では珍重される。南アジア・東南アジア・アフリカに5種が分布、いずれも国際保護動物。
[補説]作品別項。→犀
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犀
さい
Rhinocéros
フランスの戯曲。3幕4場,E.イヨネスコ作。 1959年出版。同年,ジュッセルドルフでストルー演出により初演。フランスでは 60年,パリのオデオン座で J.バロー演出により初演。イヨネスコは D.ルージュモンがナチスの大会で経験したヒトラー歓迎の集団ヒステリー症状の話を聞き,それに着想を得て 57年,短編小説『犀』を発表し,翌 58年戯曲に完成した。平凡な田舎町に突然犀が現れるが,実はそれが人間の変身したものであることがわかり,やがて,主人公ベランジェを除くすべての住民が犀化してしまうという寓話的喜劇的な装いをとりながら,全体主義の恐怖を訴え,人間の条件の不条理性を示している。脈絡を欠いたせりふや限りなく加速する犀の増殖などに初期作品との共通点はみられるが,イヨネスコの転機を示す作品。
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