犬島(読み)いぬじま

精選版 日本国語大辞典 「犬島」の意味・読み・例文・類語

いぬ‐じま【犬島】

〘名〙 平安時代、宮中の犬を追放した場所。→語誌。
※枕(10C終)九「この翁丸うちてうじて、いぬしまへつかはせ、ただいまとおほせらるれば」
[語誌]北村季吟が「枕草子春曙抄」で「備前にある嶋の名也、犬を遠嶋せしむる心なるべし」と説いて以来、岡山県犬島を指すという説が有力であったが、近年の説によると、「如願集」などから、京都府南部の淀の中洲のひとつに犬を放逐する島があって、中世初めには地名として定着していたという。ただ「枕草子」の段階では固有の地名であるかどうかは明らかでなく、淀の地を念頭に置いた普通名詞であったものと思われる。

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デジタル大辞泉プラス 「犬島」の解説

犬島

岡山県岡山市、宝伝地区の南方約4キロメートルの瀬戸内海に浮かぶ有人島。面積約0.54平方キロメートル。かつては大阪城江戸城鎌倉鶴岡八幡宮鳥居などにも使われた良質な花崗岩産地として知られた。明治時代に銅精錬所がつくられ、大正時代まで操業が続いたが、その後廃墟となっていた遺構を、2001年にベネッセコーポレーション会長の福武總一郎が買収。近代化遺産と現代アートの美術館が融合した「犬島精錬所美術館」として再生し、国内外から多くの美術ファンが訪れている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「犬島」の意味・わかりやすい解説

犬島
いぬじま

岡山市に属する瀬戸内海の小さな島。石材採掘が盛んで,犬島石 (花崗岩) あるいは犬島御影は有名。東京ガスなど大都市のガス付臭剤を生産する工場がある。南岸は海水浴場に適し,釣場もある。周辺海域では 1965年頃以降ノリの養殖が盛んに行われる。宝伝 (ほうでん) から犬島への航路がある。面積 0.54km2。人口 101 (1996) 。

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