狩取(読み)かりとり

改訂新版 世界大百科事典 「狩取」の意味・わかりやすい解説

狩取 (かりとり)

川狩すなわち河川で魚をとる者のことで,平安時代に山城国淀津にあった内膳司の御贄(みにえ)所,供御(くご)所に所属して,淀川筋で漁労に従事し,朝廷に鮮魚を供御として貢進する役をつとめる身分の者を狩取といった。彼らは供御人としての身分的特権をもち,漁場を独占して高瀬舟で漁を行い,供御物の保管・運送を業とし,市津において漁獲物を一手に販売した。狩取の集団を直接に管轄する役人に,預または執行がおり,さらに四衛府の番長以下の官人が,交替供御所に出向して,彼らの監督にあたった。淀狩取らはその特権を笠に着て,河内大江や淀川河口の川尻辺に進出し,1031年(長元4),内膳司領大江御厨と漁場を争って衝突,御厨側が狩取の漁を制止して高瀬舟8艘と網を没収した上に,狩取16人を捕らえて禁錮するという事件があり,また90年(寛治4)には,川尻の鴨社領長洲御厨の漁民が,淀狩取らの濫行を訴えて勝訴している。
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普及版 字通 「狩取」の読み・字形・画数・意味

【狩取】しゆしゆ

捕らえる。

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