狭筵(読み)サムシロ

デジタル大辞泉 「狭筵」の意味・読み・例文・類語

さ‐むしろ【×筵】

幅の狭いむしろ。また、短いむしろ。〈色葉字類抄
むしろ。
「―に衣かたしき今宵もや我を待つらむ宇治橋姫」〈古今・恋四〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「狭筵」の意味・読み・例文・類語

さ‐むしろ【狭筵】

[1] 〘名〙
① 幅の狭い筵。また、短い筵。
※延喜式(927)三八「大膳職食薦一千九十枚、狭席六枚、長席八枚、折薦十枚」
② (「さ」は接頭語) 筵をいう。敷き物。
※古今(905‐914)恋四・六八九「さむしろに衣かたしきこよひもや我をまつらん宇治の橋姫〈よみ人しらず〉」
[2] 地歌・箏曲曲名。天保(一八三〇‐四四)の頃、大坂の在原勾当(ありわらこうとう)の作曲。一周忌追善に作られた手事物(てごともの)(長い間奏をもつ曲)。歌詞は帰らない故人を思い、秋の風物を淋しくうたったもの。
[語誌]「さ」は、「さおり(狭織)」「さもの(狭物)」の「さ」と同じく、「せまい」という意味を持ち、「狭筵」は幅の広い「長筵(ながむしろ)」に対する語だったが、「さごろも」「さぎり」などの「さ」と混同されて、接頭語として認識され歌語として用いられるようになった。

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